フリーランスとして仕事をしている方、またこれからフリーランスになることを考えている方は、フリーランス協会をご存知でしょうか?

フリーランス協会は、フリーランスとして働く人を支援する活動を行っている団体です。無料会員でもサービスを受けることは可能ですが、有料会員になると、より手厚いサービスを受けることができる点が特徴です。

本記事では、「フリーランス協会って何?」「有料会員になるとどんなメリットがあるの?」と気になる方に向けて、フリーランス協会の活動内容や特徴、有料会員になるメリットなどを解説しています。フリーランス協会について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

フリーランス協会とは?

フリーランス協会は2017年に設立された非営利団体で、正式名称は「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」。

『誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ』を活動指針に掲げ、自分のキャリアと自律的に向き合う人に役立つインフラ&コミュニティづくりと、フリーランスの労働環境整備など、自分の名前で仕事がしたい人のための支援活動やサービスの提供を行っています。

コロナ禍で2021年度には会員数が前年比で1.3倍になり、会員数は約80,460人、支援などで携わっている賛助企業は266社に上ります(2022年12月31日現在)。

フリーランス協会は、主に下記のような活動を行っています。

・キャリア支援プロジェクト

キャリアアップやセルフブランディング、法務や確定申告など、フリーランスとして活動する人に役立つセミナーやイベントを毎月多数開催しています。

・パラレルキャリア推進プロジェクト

副業や兼業をしている人、またこれから始めたい人など、パラレルキャリアを目指す人を後押しするためのイベントを多数開催。セカンドキャリアを模索するミドルシニア向けの研修も増えています。

・調査・白書プロジェクト

フリーランスの実態を調査し、年1回「フリーランス白書」を発行。年収・勤務時間・働く理由・満足度などをまとめた分析からは、フリーランスの現状課題も浮き彫りに。フリーランスの環境整備のための、政策検討の場でも活用されている大規模調査を行っています。

・地方創生プロジェクト

仕事をしながら、都心と地方を行き来する「二拠点生活」や、旅をしながら働く「ワーケーション」など、1つの場所にとらわれない、フリーランスならではのライフスタイルを模索するプロジェクト。

・政策提言プロジェクト

病気やケガ、子育て、介護などのライフリスクへの備えが、働き方に関係なく利用できるような、「働き方に中立な社会保障制度」の仕組み化、契約トラブルやハラスメントなどの防止策を政府検討会などへ提言。各省庁と連携して、働き方を支える制度の改善に向けた取り組みを行っています。

・信用資産プロジェクト

フリーランスDBを基盤に、個人の信用力を総合的に判断できる情報の蓄積を目指すプロジェクト。雇用の有無にかかわらず、個人の信用力で、会社員と同等の金利で資金調達ができる仕組み、適材適所で活躍でき、かつ報酬に反映される社会の実現を目指しています。

・ジョブ創出プロジェクト

プロフェッショナルな人材であるフリーランスのスキルや経験を必要とする企業に向けて、セミナーを開催。フリーランスとスムーズに仕事を進めるためのコツや法的な留意点を伝え、フリーランスと企業のマッチングを進める取り組みを行っています。

これらの活動を通して、フリーランスと法人、政府や自治体・世論などをゆるやかにつなぎ、互助の場づくり、共助の仕組みづくり、公助の仕組みづくりなど、フリーランスの働き方改革の推進と情報発信を行っています。

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フリーランス協会・無料会員でできること

フリーランス協会の登録には、無料会員と有料会員(一般会員)があります。

無料会員は入会条件がなく、協会HPから事業形態やメールアドレスを登録するだけ。簡単にアカウントを作成でき、下記のサービスを利用することができます。

・メールマガジンの購読

フリーランスに役立つ情報の発信のほか、協会の活動内容の報告、イベント開催や重要な制度改正などの情報が受け取れるメールマガジンを購読できます。

・フリーランスDB(データベース)への登録・利用

閲覧・検索が無料でできる、フリーランスDBへプロフィールを登録することができます。自身の写真や仕事のポートフォリオ、経歴や実績、得意ジャンルなどを掲載することができ、営業ツールや問い合わせ窓口として活用することができます。

また、フリーランス仲間による「他己紹介」や、仕事仲間のつながりも可視化できるので、仕事を頼んだり、協業したりと、交流を深めるきっかけづくりにもなります。

・オンラインスキルアップ講座「Skills Build」の受講が可能

IBMが提供しているオンラインスキルアップ講座6000講座以上を無料で受講できます。IT基礎知識やPCスキル、営業やコミュニケーション、マーケティングなど、ビジネスに必要なスキルを幅広く学ぶことができる学習コンテンツが揃っています。

・オンラインコミュニティへの参加

同業種や同じ地域のフリーランス仲間とつながることができるオンラインコミュニティへも参加可能です。

フリーランス協会の無料会員は、これからフリーランスや副業になりたい人や、まずは情報収集がしたい人向けのサービスとなっています。

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フリーランス協会・有料会員のメリット

年会費1万円の有料会員(一般会員)になると、メルマガ・フリーランスDB利用の他、WELBOXや賠償責任保険など、さまざまな優待特典(ベネフィット)を使うことができます。

ここでは、無料会員でも利用できるフリーランスDBを含め、フリーランス協会の一般会員特典やメリットを5つ解説します。

人脈が広がる

フリーランス協会に入会すると、フリーランス版イエローページのようなフリーランスDB(データベース)を使うことができます。自分のプロフィールやポートフォリオを公開して、仕事を受けたり、仲間を募ったりするなど、営業ツールとして活用できます。

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コワーキングスペースをお得に利用できる

全国にある提携のコワーキングスペースで、優待サービスを受けることができ、お得に利用することができます。

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福利厚生を受けられる

大手企業も導入する福利厚生サービス「WELBOX」が自動付帯となり、多彩なサービスの中から希望にあった福利厚生サービスを受けることができます。

特筆すべきは、全国約3,000の健診機関ネットワークから、医療機関を自由に選択し、健康診断が受けられる健康サポート。人間ドックやレディースドックが割引価格で受けられるので、社会保険加入のないフリーランスにとってはうれしい優待です。一般会員の二親等親族まで利用することができるので、家族も一緒に健康サポートを受けることができます。

この他にも様々な福利厚生サービスが利用可能です。現在受けられるWELBOXの福利厚生サービスをご紹介します。

サービス内容
健康サポート人間ドック健診、レディースがん検診、家族健康診断などの健康サポートが会員特別価格で受けられる
子育て支援保育施設などの料金優待のほか、ベビー用品の購入補助、子どもの英会話教室の入会金割引など
スキルアップeラーニングや通信教育の受講料が会員価格で受けられる
リラクゼーションマッサージ、スパ、整骨院などが会員価格で利用可能
ショッピング&レストランファッション、美容、飲食店などがお得に利用可能。セルフブランディングに役立てて。
レジャー出張などで便利なレンタカーのほか、家族で楽しめる水族館、映画館なども優待価格で利用可。
各種相談ダイヤル健康、介護、冠婚葬祭や暮らしのトラブル、メンタルヘルス、ファイナンシャル、税務といった様々なお悩みを専門家に相談できる専用ダイヤルが利用可能

賠償責任保険が自動付帯

業務の遂行にあたり、行った行為によって発生した偶然の事故によって賠償責任が発生した場合に、支払限度額の範囲内で保険金が支払われる賠償責任補償が自動付帯しています。

業務中の事故や、情報漏洩、納品物の瑕疵など、フリーランス特有のリスクに備えることができます。

フリーランス協会の一般会員はもちろん、クライアントも補償対象となっており、幅広い補償が魅力です。

補償内容支払い事例
業務遂行中の補償・配達中に通行人とぶつかりけがをさせた・家事代行等で、食器や家財を壊してしまった・業務上知りえた個人情報をうっかり第三者に話してしまった
業務結果の補償・提供した飲食物で、食中毒が発生・納品物に欠陥があり、第三者にケガを負わせた
受託財物の補償・依頼先やコワーキングスペースの備品を壊してしまった・預かっていた第三者の財物を誤って破損させた
情報漏洩・納品したシステムの瑕疵によってクライアントの個人情報が流出した・パソコンがウイルスに感染し、企業情報が漏洩、クライアントに営業損失がでてしまった
著作権侵害・納品した成果物が第三者の盗用にあたると、損害賠償請求された・成果物が盗用であるとして、クライアントに営業損失が出た
納品物の瑕疵・データ入力業務におけるミスで営業損害が発生した・納品したシステムの不具合によって、システム使用不能期間中に代替手段を使う費用がクライアントに発生した
偶然の事故による納品遅延・フリーランスの入院によって納期が遅れ、クライアントに営業損害が発生・フリーランスの職場が罹災し納期に間に合わなかったため、クライアントから損害賠償請求を受けた

著作権侵害や納期遅延など、身体障害や財物の損壊を伴わない経済損失による賠償リスクも補償されるため、クライアントも「安心して発注できる」と、賠償資力があることで受注につながったという声もあります。

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会計ソフトや法務相談の割引を受けられる

弥生会計やfreeeなどのクラウド会計サービスも、有料プランの割引や各種サポートを無料で受けられる特典があります。

個人での仕事でのトラブルの際には、法律的な心配事もつきものです。そんな時は、法務の専門家に相談できるサービスがあるとうれしいですよね。ココナラ法律相談などの弁護士相談費用が初回無料など、提携している法務サービスが利用可能なので、いざというときも安心できます。

また、『支払期日までに報酬が支払われない』『追加発注分の報酬を支払ってもらえない』『不当に低い金額で報酬が支払われる』などの報酬トラブル時の弁護士費用を補償する、弁護士費用保険「フリーガル」が一般会員に自動付帯しています。

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フリーランス協会・有料会員に入会する際の注意点

フリーランス協会の有料会員になる際にはいくつか注意したい点があります。

所得補償のみ任意加入

賠償責任補償保険やWELBOXのように有料会員になると自動的付帯となるサービスがほとんどですが、収入・ケガ・介護などで就業不能になった場合に備える所得補償は任意加入となっているため、注意が必要です。

協会を通して加入すると団体割引が適用になるので、個人で加入するよりも最大約40%割安になります。必要な場合は加入の手続きを行いましょう。

途中で退会しても年会費は返還されない

有料会員になったものの、会員特典をあまり利用しないからと、年度途中で退会をしても、年会費は返還されません。

有料会員の特典は、協会HPでも細かく掲載されているので、1万円という年会費を支払ってでも利用したい特典があるかどうか、しっかり見極めてから登録しましょう。

有料会員になるには、まず無料会員登録を行ってから入会フォームへ進みます。身分証明書のアップロード、年会費の支払い方法(クレジットカードか銀行振り込み)を登録すると、入会審査が行われ、審査終了後に初年度の年会費が決済されます。

年会費は入会日からの1年間分として支払うため、会員によって年度の開始日は異なります。また、退会日の指定ができない仕組みになっているので、退会希望日の4営業日前までにフォームより申請するように注意しましょう。

確定申告の際忘れず経費として計上しよう

フリーランス協会の年会費は、諸会費として経費を計上することができます。確定申告で計上することによって、各自で加入している国保保険料などが少し安くなる可能性があります。

有料会員特典の会計サービスや、コワーキングスペースの利用料など、業務のために利用したものも経費として計上可能です。有料会員になる場合は、確定申告の際にこれらの費用を忘れずに計上しましょう。

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フリーランス協会には嬉しいメリットが盛りだくさん

フリーランス協会には、フリーランスとして仕事をしていく上で欠かせない人脈づくりやスキルアップだけではなく、賠償責任補償や会計・法務といった煩雑な事務作業を進める上で助けになるサービスがたくさんあり、有料会員になるメリットは十分あります。

また、フリーランス白書の発行などを通じてフリーランスの労働環境の整備や、セーフティネットの確立など、フリーランスという働き方を支えるサービスが今後さらに充実したものになるような活動が期待されます。

フリーランス・副業ワーカーの方、またこれから目指す方、パラレルキャリア、セカンドキャリアなどを目指す方は、フリーランス協会への入会を検討してみてはいかがでしょうか?

フリーランス協会 ホームページはこちら
https://www.freelance-jp.org/

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