自社の業務プロセスに課題を感じている方や、もっと社員の業務を効率化したい方におすすめしたいのが「業務コンサルタント」の導入です。業務効率化を支援する専門家として、様々な中小企業に対してサービスを提供するプロフェッショナルと言えるでしょう。
本記事では、業務コンサルタントの概要を理解したい方や、実際に業務コンサルタントへの依頼を検討している方に向けて、他のコンサルタントとの違いや必要な資格、おすすめのコンサルティングファームについて紹介します。
業務コンサルタントとは?
業務コンサルタントとはどのような専門家なのでしょうか。ここでは以下の3つの切り口から、業務コンサルタントの概要を解説。
- 業務コンサルタントの仕事内容
- ITコンサルタントとの違い
- 経営コンサルタントとの違い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務コンサルタントの仕事内容
業務コンサルタントの仕事内容を一言で言えば「クライアント企業の業務プロセスを改善し、社員の業務効率化や、ひいては売上や利益の向上に寄与する」こと。そのための具体的な方法として、ITツールの導入や業務フローの見直しといった体制の改革に取り組むことも少なくありません。
まずクライアント企業が抱える課題やニーズを明確にし、業務プロセスを改善することでその目標を達成できないか、という視点でヒアリングや課題の分析、仮説検証を行います。クライアント企業の業種は様々ですから、あらゆる業種の業務プロセスについて知見があるとスムーズに進められるでしょう。
その後、具体的な提案業務に移ります。業務プロセスをどのように変更するのか、その方法はなにか、期待できる効果にはどのようなものがあるか、といった点をまとめてクライアント企業へ提案し、双方が納得した状態で業務プロセスの改善を行います。
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ITコンサルタントとの違いは?
業務コンサルタントはITコンサルタントと混同されやすい職業ですが、厳密に言えば両者の役割は異なります。具体的には工程の上下や業務内容が違うため、あらかじめ把握しておきましょう。
業務コンサルタントは、あくまで「クライアント企業の課題」を「業務効率化」によって解決するための専門家。必ずしもITツールの導入を勧めるわけではなく、単純に業務フローを変更するだけで課題が解決する場合はそのように提案するのが仕事です。
一方のITコンサルタントは、業務効率化やDX化といった企業の目的を達成するためにどのような機能を持ったシステムを開発してもらうのか、を可視化し、ベンダーへ依頼することが業務内容と言えます。
どちらも目的は似ていますが、ITコンサルタントはITシステムやツールの開発・導入時に力を発揮するコンサルタントであり、業務コンサルタントは業務効率改善に対して力を発揮するコンサルタントです。言い換えれば、業務コンサルティングの結果、ITツールの導入が必要であれば、次にITコンサルティングが行われるというイメージでしょう。
このように、両者は工程の上下や業務内容に大きな違いがあると言えます。
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経営コンサルタントとの違いは?
経営コンサルタントと業務コンサルタントにも似通った部分があるため、混同されることがあります。しかし両者の間にも明確な違いがあるため、理解しておきましょう。
まず、経営コンサルタントはクライアント企業の経営上の課題を解決するためのプロフェッショナル。経営戦略の立案や、それに基づいて策定される事業戦略や人事戦略、財務戦略、業務プロセスなどにも関わりつつ、最終的に経営課題が解消されるように努めます。
一方の業務コンサルタントは業務プロセスの改善に特化したコンサルタントのため、経営戦略に関わることは少ないと言えるでしょう。業務プロセスを改善した結果として、経営課題の解消に繋がることはあるでしょうが、コンサルタントとしての目的はそこではありません。
このように、関わる領域が異なり、コンサルタントとしての目的も違うことから、両者は別領域のコンサルタントと言えます。
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業務コンサルタントに必要なスキルや条件はある?
業務コンサルタントの仕事内容を把握した上で、具体的にはどのようなスキルや資格が求められるのか気になる方も少なくないでしょう。
ここでは、業務コンサルタントに求められる能力や条件を4つに分けてご紹介します。
幅広い業務に関する知見や改善した実績
クライアント企業の業種や規模が異なれば、当然ながら業務プロセスも異なります。業務コンサルタントが効果的に業務を行うためには、幅広い業種や分野に対する知見が求められるでしょう。
また、クライアントの立場に立つと、自社の領域で業務コンサルティングを実施した経歴や、その際の実績などがあると信頼しやすくなります。信頼される業務コンサルタントにはこれらの条件が求められるでしょう。
ITツールやシステム導入に関する知見
業務コンサルタントは業務フローを見直し、より効率的に業務をこなせるようにツールの導入やシステムの開発を行うことがあります。そのため、ITツールやシステム導入に関する知見が求めらるでしょう。
ITに関する知見がなければ、適切なツールやシステムの全体像が描けず、効率化には不十分なツール・システムを提供する可能性があります。業務プロセスの改善はおろか、クライアント企業に対してコストの無駄遣いを強いることにもなりかねません。
ITツールやシステムの導入を指揮できるよう、必要な知見を備えておくことが求められます。
論理的思考力
コンサルタントに共通して求められる能力ですが、業務コンサルタントにとっても論理的思考力は必須です。
具体的には、クライアント企業の既存の業務プロセスを細分化し、どの業務が効率化を妨げているのか、どのような方法であれば効率化が果たせるのか、を検討する際には論理的思考力が必要。
また、クライアント企業の課題を正しく理解し、原因の本質を探るという意味でも論理的思考力は求められるため、業務コンサルタントとして実務をこなすためには物事の本質に迫ったり、予測を立てたりできる程度の論理的思考力が必要です。
コミュニケーション能力
業務コンサルタントにはコミュニケーション能力も必要不可欠。クライアント企業と打ち合わせを行う場合、関わる相手は業務責任者です。抱えている課題を正しく理解し、こちらの提案や意図を正しく伝えるためにはコミュニケーション能力が必須と言えるでしょう。
また、ツールの開発や導入を手掛ける際は、クライアント企業のみならず、開発を依頼するベンダーとの折衝も担当することがあります。このような場面でも活かせるコミュニケーション能力を備えていると、業務コンサルタントとしての仕事がやりやすくなるでしょう。
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業務コンサルタントの年収やキャリアは?
様々なスキルや条件が求められる業務コンサルタント。その分、やはり年収は高く、豊富なキャリアが用意されているのでしょうか。
ここでは以下の3つの側面から、業務コンサルタントについて理解を深めていきます。
- 業務コンサルタントの年収
- 業務コンサルタントのキャリア
- 業務コンサルタントになるには?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務コンサルタントの年収
業務コンサルタントの年収は、大きく「コンサルティングファームに在籍している」か「フリーのコンサルタントとして活動しているか」によって異なります。まずは基準として、コンサルティングファームに在籍しているケースを見ていきましょう。
コンサルティングファームの給与は、基本的に「役職」によって定められます。入社から3年程度はアナリストとして働くため、年収は500万~700万円程度と言えるでしょう。5年を超えればコンサルタントとして働くことが多く、年収が1,000万円を超えることも少なくありません。
プロジェクトをまとめるプロジェクトリーダーやマネージャーといった役職になると、さらに年収は高くなり、1.500万~2,000万円に上ることも。
これらの収入はコンサルティングファームから給与という形で支払われるため、ある程度の実績を積んだ後にフリーの業務コンサルタントとして独立し、さらに年収を高めようとする方も少なくありません。
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業務コンサルタントのキャリア
業務コンサルタントのキャリアは多岐にわたり、各業界の業務効率改善に携わった経歴を活かして事業会社へ転職したり、コンサルティングファームにおいて特定の分野に対するスペシャリストとして採用されることも考えられます。
また、業務コンサルタントと親和性の高いITコンサルタントとしての経験も持っていれば、一人でITツールの導入まで手掛けられるコンサルタントとして、高い市場価値を持つことになるでしょう。複数のコンサルティングファームから声がかかったり、ITツールのプロジェクトマネージャー(PM)として誘われたりといったキャリアが考えられます。
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業務コンサルタントになるには?
業務コンサルタントになるには、どのようなルートが考えられるのでしょうか。
まず考えられるのはコンサルティングファームに新卒で入社し、そのまま業務コンサルタントとしてのキャリアを積むケースです。
他には、第二新卒や中途採用といったルートで業務コンサルタントに転職し、これまでの経験を活かしつつコンサルタントとしての実力を伸ばすケースが考えられます。
また、ITコンサルタントとの親和性が高いため、ITツールやシステムの開発を行うSEやPMが業務コンサルタントとして転職するケースも想定されるでしょう。いずれにせよ、コンサルティングファームに入社して業務コンサルタントとしてのキャリアをスタートすることが求められます。
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おすすめの業務コンサルファーム3選
ここからは、実際に業務コンサルタントへの依頼や転職を検討している方に向けて、業務コンサルティングの分野で豊富な実績を持つ業務コンサルファームを3つご紹介します。それぞれ特徴や強みが異なるため、比較しつつ読み進めていきましょう。
アクセンチュア
世界最大級の総合コンサルティングファーム、アクセンチュア。知名度や実績の面でも屈指のコンサルティングファームで、大手企業や政府機関にもコンサルティングサービスを提供しています。
主力事業の一つであるBPO支援を加味しつつ業務プロセスの改善や効率化に向けたコンサルティングサービスを提供し、IT支援も組み合わせた総合的な業務コンサルティングが受けられるのです。
アビームコンサルティング
国内系のコンサルティングファームの中では最大級の規模を誇るアビームコンサルティング。NECとの戦略的資本提携や、アジアを中心とした海外ネットワークの活用も踏まえた高品質なコンサルティングが受けられます。
外資系のコンサルティングファームよりも日本向きのコンサルティングを実施する「リアル・パートナー」を掲げ、企業の社風を否定するのではなく、多様性を受け入れつつクライアント企業の変革をサポート。業務コンサルティングに加えてシステム開発や導入に至るまでワンストップでコンサルティングが受けられるのもポイントです。
デロイトトーマツコンサルティング
従来から業務改革コンサルティングに定評のある日本最大級のコンサルティングファーム、デロイトトーマツコンサルティング。社会課題の解決や新産業の創業など、クライアントや社会の未来を見据えたコンサルティングを実施するのが特徴です。
戦略立案から実行までを一貫して行うことが多く、同社の強みは業務コンサルティングのような実務面のコンサルティング。業種ごとの専門家で結成されたコンサルティングチームが、クライアントの悩みや業種、規模に合わせて最適な解決策を見出し、課題を解消します。
業務プロセスの改善を行う業務コンサル
業務プロセスを改善し、クライアント企業の課題を解消する業務コンサルタント。あらゆる業界に精通し、論理的な思考を用いて業務フローを細分化したり、最適なフローを再構築したりする専門家として、今後ますます活躍の場は広がっていくでしょう。
導入を検討している方は、自社の状況や課題を改めて見直し、明確にしたうえで依頼するとスムーズに課題の解決へ至れます。本記事を参考にしつつ、自社の業務プロセスを見直したり、業務コンサルタントへの依頼を検討したりしてみましょう。