様々なクライアントの課題を専門知識やスキルによって解決する「コンサルタント」。様々な業種で耳にする機会は増えましたが、その仕事内容や給与、なり方について曖昧な理解で留まっている方も少なくないでしょう。

ここでは、コンサルタントという職業について、どんな方が向いているのか、必要なスキルや資格はあるのか、といった点も踏まえて詳しく解説します。

コンサルタントとはどんな職業?

コンサルタントとは、保有するスキルや知識、経験を活かしてクライアントの課題解決を行う専門職を指します。コンサルタントの語源となった「consult」に「相談する」という意味があるように、相談に乗ったり、方法を考えたりといった業務がメインです。

コンサルタントには分野や業種によって様々な種類がありますが、よく耳にする「コンサルタント」という職種は「経営コンサルタント」や「戦略コンサルタント」を指すことが多いと言えます。

コンサルタントを利用する顧客のほとんどは企業で、「抱えている課題を解決したいが専門知識を保有した人材がいない」「舵取りを一時的に頼みたい」といったニーズを満たすためにコンサルタントへ依頼し、その後に課題の解消に向けて動き出す、といった流れです。

そのため、コンサルタントは特定ジャンルの高度な知識や経験はもちろん、実際に課題を解消するためのマネジメントスキルも求められます。こうした人材を数多く保有し、コンサルティングサービスを提供するのがコンサルティングファームと呼ばれる企業です。

コンサルタントの仕事内容とは?

コンサルタントの仕事内容は、業種や分野によって大別されます。近年よく耳にするのは、以下のジャンルでしょう。

※リンクをクリックすると、各コンサルタント種別の詳細解説記事に遷移します。

また、以下のようなコンサルタントも実在します。

こうして見てみると枚挙に暇がありませんが、それはコンサルタントが「企業の課題を解決する」職種だからと言えます。企業の課題があるところでは専門のコンサルタントが必要となり、それに合わせたコンサルタント職が生まれているのです。

いずれのコンサルタント職であっても、業務の流れの大枠は変わりません。まずはクライアントの課題を明確にし、解決に向けた戦略を立てます。ここまでは相談に近い役割ですが、近年はここからさらに踏み込み、実行まで行うケースが多いと言えるでしょう。

その場合は、必要なリソースを洗い出し、社内で賄うのか、外注するのか、その際の予算はどれくらいかといった実行可能性の担保と実行の舵取りを行います。また、場合によってはハンズオンでコンサルティング業務に当たることもあるのです。

例えばDXコンサルタントは、DX化が進まない官公庁や中小企業から依頼を受けてDX化を推進するのが目的です。しかし、DXはデジタルツールを導入しただけでは完了しません。

ツールが日々の営業活動に資し、業務効率や生産性が向上するよう、全社を挙げた意識変容も含めた改革が求められます。そのためには、クライアントへの教育や訓練といった業務もコンサルタントの職務に含まれるのです。

明確に業務内容を定義するというよりは、業種やクライアントの目的に合わせて最適な支援方法を模索し、その都度細かく支援内容を策定することが大切と言えるでしょう。

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コンサルタントになるには?なり方を解説

コンサルタントになるには、大きく2つの方法があります。一つ目は、コンサルティングサービスを提供する企業(コンサルティングファームなど)へ入社し、コンサルタントになる方法。二つ目は独立してフリーのコンサルタントになる方法です。

一般的にはコンサルティングファームへ入社して経験を積み、それから独立を目指すルートが多いですが、未経験の方がコンサルティングファームへ入社するには「ポテンシャル採用」と「中途採用」の2つの選択肢があります。

ポテンシャル採用は年齢制限がありますが、人材の成長を期待して採用する仕組みです。一方の中途採用では、いずれかの業種で積み上げた経験や知識を武器に、即戦力のコンサルタントとして活躍することが期待されます。

例えば、長くIT業界に身を置いてSEやPMといった職種を経験してきた人材が、これまでの経験を活かしてITコンサルタントへ転身する場合は中途採用での入社となるでしょう。

コンサルタントに求められるスキルや資格はある?

コンサルタントになるために必要なスキルや資格はありません。資格に関して、保有しておくと便利なものはありますが、求められる知識や経験が職種によって異なるため、一概には言えないのです。ただし、コンサルタントとして成果を上げるために求められるスキルは非常に多いと言えます。

共通して必要なものとしては、身を置くジャンルにおける深い知識と、クライアントの課題やその原因を見抜く洞察力、解決に向けた筋道を立てる論理的思考力などが挙げられます。

また、これらのベースとなるコミュニケーション能力も欠かせません。コンサルタントが直接関わる相手は経営者や決裁権を持つ重役であることが多く、こうした方々とも対等に渡り合うためのコミュニケーション能力は必須と言えます。

先述したように、マネジメントに当たることもあるでしょう。プロジェクトメンバーと協力しながら円滑に業務を進める折衝能力も重要です。さらに、外資系のコンサルティングファームでコンサルタントになる場合は、英語力も求められるでしょう。

このように、自分がどのようなジャンル、企業でコンサルタントになるのかを考えてみると、必要なスキルや資格が明確になるのです。

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コンサルタントの給与はどれくらい?

一般にコンサルタントと言えば高い給与や報酬が期待できる職業。しかし経験年数や実力、コンサルを行う分野によって収入にはばらつきがあります。ここでは、株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアの「コンサルタントの年収・給与」を参考に、コンサルタントの給与を見てみましょう。

引用:コンサルタントの年収・給与│株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア

外資系戦略コンサルティングファームの役職や年齢別に年収を集計した上図によると、固定給与は500万~2,500万円超えまで幅広く設定されていることが分かります。外資系という点に加えて、戦略コンサルティングの領域は他ジャンルのコンサルに比べて給与が高いと言えるでしょう。

また、コンサルティング業界の給与は、年齢よりも実力や役職によって決まることのほうが多いです。20代でコンサルタントやマネージャークラスに昇進し、1,000万円以上の年収を得られるケースも少なくありません。

実際に国内のコンサルティングファームの平均年収をいくつか見てみると、野村総合研究所は1,235万円、フロンティアマネジメントは1,217万円、シグマクシスは1,152万円と上場企業の中でも非常に高給与が得られることが分かります。

さらに、給与面で他業種と異なる点は個人の業績による賞与が存在するという点です。実力主義的な業務内容や風土が根付いているコンサルティング業界では、挙げた成果に基づき、固定給とは別に報酬が支払われます。こうした背景もコンサルタントの給与が高くなる要因と言えるでしょう。

参考:コンサルタントの年収・給与│株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア

コンサルタントに転職することはできる?

コンサルタントに転職したいと考えている方は多いですが、求められる能力が高く、誰でも転職できる職種ではありません。採用のハードルが高いため、転職前に準備を進めておかなければ実現は難しいでしょう。

コンサルタントへ転職するには、「入社したいコンサルティングファームを絞る」ことと「自身のスキルやキャリアの棚卸をする」ことが大切です。

入社したいコンサルティングファームが明確になっている場合は、そのファームがどの領域に注力しているのか、市場ではどの領域が活発なのかを調査し、自分が入社した後にどのようなコンサルタントとして活躍するのかイメージを膨らませましょう。

加えて、自分のこれまでのキャリアを見返し、武器や強みを自覚しておくことが大切です。これまでの知見でどのようなサービスが提供できるのか、そのサービスを求めるクライアントがいるのか、市場調査を行ってみると良いでしょう。

また、ポテンシャル採用と中途採用のいずれであっても、これからコンサルタントになる上でコミュニケーション能力は必須です。とくにケース面接の対策は怠らないようにしましょう。

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コンサルタントはどんな人が向いている?

コンサルタントは魅力の多い職業ですが、業務がテクニカルかつ高度な分野なので向き不向きがあります。ここでは、コンサルタントに向いている人と向いていない人の特長を見ていきましょう。

コンサルタントに向いている人

コンサルタントに向いているのは以下のような特長を備えている人です。

  • 業界での経験や知見がある
  • 論理的思考力がある
  • 洞察力がある
  • 人の気持ちを汲み取れる

コンサルタントとして業務に当たるには、いずれの能力も欠かせません。まず重要なのがコンサルティングを行う業界での経験や知見です。クライアントの課題を解決する上では課題の理解や解決策の提示のために深い造詣が必要と言えます。

適切な解決策を導き出すためには論理的思考力が必要です。千差万別の課題を解消するためには、その都度、原因と改善策を見い出す必要があります。そのためには論理的思考力を備えていなければなりません。

課題解消を行うためには、クライアント企業への介入が必要です。外部の人材として企業の仕組みやフローを変革する場合、適切なヒアリングや組織内での折衝が必須。円滑に業務を進めるには問題の根本を見抜く洞察力や人の気持ちを汲み取る能力が求められるでしょう。

これらの能力を備えている方はコンサルタントに向いていると言えます。

コンサルタントに向いていない人

コンサルタントに向いていない人の特長は以下のとおりです。

  • 業界での経験が短く、知見がない
  • 地道な作業が苦手
  • 責任感が薄い
  • 自分のやり方にこだわりたい

前提として求められるのが業界に対する知見です。コンサルタントに求められる水準の知見を備えていない方は、コンサルタントになる前に実務経験を積み、様々な課題に触れてみましょう。課題と解決のパターンを蓄積すれば、コンサルタントへのキャリアが拓きます。

また、コンサルタントの業務は地道な仮説と検証の繰り返しと言えるでしょう。一度で上手くいくというよりは、大まかなアタリをつけながら成果を最大化していく過程が業務の大部分を占めます。地道な作業が苦手な方には不向きと言えるでしょう。

コンサルタントは、クライアントから見れば社外から招かれる人材ですが、その専門性や能力には大きな期待がかけられています。そのため大きな裁量を持ち、責任ある立場で業務に当たることもしばしば。責任感が薄い方は信用を失くしやすく、コンサルタントに不向きと言えます。

コンサルタントが向き合う課題は、クライアントによってさまざま。同じジャンルであっても規模や原因が異なります。「このやり方で上手くいくはずだ」と自分の手法にこだわりたい方は、コンサルタントに必要な柔軟さを持ち合わせにくく、コンサルタントに不向きであると言えるでしょう。

以下の記事では、コンサルタントに必要とされるスキルやマインドセットをまとめています。宜しければ併せてご覧ください。

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コンサルタントは独立も可能?

コンサルタントにはコンサルティングファームに在籍するケースと、独立・開業してフリーのコンサルタントとして活動するケースの2種類が存在します。コンサルタントとして経験を積めば、フリーコンサルタントとして自由な働き方を確立することも不可能ではありません。

ここでは、フリーコンサルタントの実情やなり方について詳しく見ていきましょう。

フリーコンサルタントの実情

弊社で調査を行ったところ、フリーコンサルタントとして活動している方は、以下のような悩みを抱えているようでした。

単価に悩むフリーコンサルタントの声

まず、単価設定というものができないお仕事で、一応こちら側でも単価を決めることができるんですが、こちらの望んだ単価で仕事を受けようとした場合、大抵が嫌な顔をされるということが多く、(中略)何分、コロナ化の影響も多く、自分が得意とするジャンル以外の商品の宣伝を引き受けなければならないなど、自分の専門分野を増やさないといけないという問題も新たに抱えました。

最も多かったのは単価に関する悩みで、コンサルタント側が提示した金額で契約を成立させるのが難しい、という声が挙がっています。企業側がその課題に対して感じるリスクの大きさとコンサルタント側の見積もりによりますが、フリーならではの悩みと言えるでしょう。

継続契約に悩むフリーコンサルタントの声

一番の悩みはやはり継続的な案件獲得となります。知り合いつながりで最初はコンサル契約をしていただき数ヶ月は案件に携わることができるのですが、ひと段落するとその後の案件に繋がりません。契約時に色々とアドバイスしたことが先方のナレッジとして蓄積され、それ以上に自分のバリューをあげることできないために継続契約につながっておりません。なのでどのようにすればスポット対応ではなく、長期的に契約をいただけるかが悩みとしてあります。

コンサルタントの性質上、課題が解消されればお役御免となるケースも少なくありません。特に、特定の領域に特化したフリーコンサルタントは複数のプロフェッショナルが集まるファームとは異なり、アップセルに繋がる提案がしにくいと言えます。

単価の問題と、継続した契約の獲得は多くのフリーランスにとって悩みの種ですが、フリーコンサルタントにとっても大きな問題となっているようです。

いかに自分のバリューを上げて案件を獲得していくかという点においては、他領域のコンサルタントとの交流を持ったり、先輩のフリーコンサルタントに相談できる環境を整えたりするのがおすすめ。うまく交流を図ってスキルアップや人脈の強化に努めましょう。

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コンサルタントになってキャリアを拓こう

一口にコンサルタントと言っても、領域や働き方によって業務内容は多岐にわたります。この記事を参考に、コンサルタントという職業への理解を深め、今後のご自身のキャリアを切り拓きましょう。

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