コンサル経験を積んでいざ独立してみたものの、思ったよりも稼げないという事態に陥ることもあり得ます。実力主義のコンサル業界では、稼ぐも稼がないも自分のスキル次第です。そこで、コンサルタントで稼げる人と稼げない人の特徴をまとめました。
コンサルタントで稼ぐために必要なスキルもあわせて紹介しているので、目標の金額まで稼げていない人は参考にしてください。
コンサルタントで稼げる人と稼げない人の特徴
実力主義のコンサル業界で稼いでいくためには実績とスキルが大切です。コンサル業界で稼げる人は、クライアントの需要を満たす専門的なスキルを持っています。
一方で、稼げないコンサルタントは「〇〇コンサルタント」と名乗ってはいるものの、スキルや実績がともなっておらず、依頼を受けられない場合が多いです。
以上のことを踏まえたうえで、コンサルタントで稼げる人と稼げない人の特徴をそれぞれ3つまとめました。
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稼げる人の特徴
コンサルタントで稼げる人の特徴は以下の3つです。
- 専門的な知見を持っている
- 充実したポートフォリオ
- 複数のプライスラインを持っている
専門的な知見を持っている
専門的な知見を持っているコンサルタントは稼ぎやすいです。コンサルタントと一括りで表しても以下のように種類はさまざまです。
- 戦略コンサルタント
- シンクタンクコンサルタント
- ITコンサルタント
- 医療コンサルタント
- 人事組織コンサルタント
- 監査法人コンサルタント
など
コンサルタントはさまざまな種類がいるので、すべての分野でコンサルティングを実施しようとすると専門性に劣ってしまいます。そのため、稼げるコンサルタントは特定の分野に絞っているのが一般的です。
また、市場規模が大きい分野のコンサルタントを担当すれば、それだけ高額の報酬が期待できるでしょう。近年では特にIT系のコンサルタントは市場規模が拡大しつつあります。
IDC Japan 株式会社が発表している資料によると、ビジネスまたはITコンサルティングで構成されている国内コンサルティングサービス市場は2020年時点で8,623億円の規模にまで拡大。2025年にはさらに成長し、1兆2,551億円にまで拡大する予測が出ています。
感染症拡大によりDX化が推進されている現代において、ITやDXに関するコンサルティング需要が増えている結果でしょう。以上のように市場規模が拡大している分野でコンサルタントを担当すれば、仕事や報酬も増えていくはずです。
コンサルタントとして稼ぐためには、将来を見越して専門知識を身につけなければいけません。
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充実したポートフォリオ
コンサルタントとして稼ぐためにはポートフォリオを充実させる必要があります。コンサルタントに限らず、クライアントが何か案件を任せる際には過去の実績を参考にすることが多いです。
実際に株式会社Lboseが発表している資料によると、企業側がフリーランスに仕事を依頼する検討理由として「過去の実績」が4番目にランクインしています。他上位にはスキルに関する回答ばかりであるため、実質的にはスキルの次に大切なのが実績といえるでしょう。
また、実績としてポートフォリオを充実させるには、ひたすら案件をこなすしかありません。特定の分野で実績を重ねていけばポートフォリオの厚みが増し、クライアントからの信頼を勝ち取れるコンサルタントになれるでしょう。
参考:フリーランス活用企業の6割が「満足」の一方で、9割が何らかの課題を感じていることが明らかに。
複数のプライスラインを持っている
稼げるコンサルタントは複数のプライスラインを持っています。プライスラインとは、同じカテゴリー内の商品の販売価格のこと。同じカテゴリの商品が5,980円、3,980円、1,980円と異なる価格で販売されているのは、プライスラインを用意して顧客が「選べる」状態を作るためです。
以上の話は何も小売業などに限った世界ではなく、コンサルタント業界でも同じです。サービスに関するプライスラインを複数持つことで、クライアントは比較検討しやすくなります。この際に自分のサービスだけで比較検討してもらえれば、他社比較する機会を防げるため、売上が発生したも同然です。
逆に、複数のプライスラインを用意していないと、「どの価格で頼もうか」という選択ではなく、「このコンサルタントに頼むか、他のコンサルタントに頼もうか」という選択になるため、依頼を受けにくくなってしまうでしょう。
そのため、コンサルタントでも複数のプライスラインでサービスを提案できると、稼ぎやすくなると言えます。
稼げない人の特徴
コンサルタントで稼げない人の特徴は以下の3つです。
- 顧客の単価が低い
- 企業の規模を見抜けていない
- 営業が少ない
顧客の単価が低い
コンサルタントで稼げない場合は顧客単価が低い可能性があります。いくら案件をこなしていても顧客単価が低ければ稼ぎは増えません。そもそもコンサルタントの料金体系は主に以下3つに分かれます。
コンサルタントの料金体系 | 特徴 |
---|---|
定額報酬制 | ・毎月一定額の料金が発生する制度・クライアントの要望次第では対面でのアドバイス複数回おこなう必要がある ・時間をかけなければ割が良い |
時間報酬制 | ・いわゆる時給制度 ・スポット的なコンサルで利用される |
成果報酬型 | ・成果物の効果に応じて支払われる料金制度 ・効果がなければ費用が支払われない |
上記のなかでも成果報酬型は料金が低いどころか、料金がゼロになる可能性を孕んでいます。そのため、実績を積みたいという場合を除いて、コンサル経験が浅いうちは成果報酬型で契約するべきではありません。
いずれの料金体系を選ぶとしても自分が満足できる価格設定にしてください。例えば、20日稼働で月60万円程度稼ぎたい場合は、1日3万円稼ぐ必要があります。定額報酬制で毎月60万円が稼げるのであれば問題はありませんが、そうでない場合は時間報酬制のコンサルで稼ぐ必要があります。
1日8時間稼働したとして、3万円稼ぐためには時給4,000円程度は確保しなければいけません。自分のスキルと相談する必要がありますが、求める報酬額から逆算して単価を設定すべきです。
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企業の規模を見抜けていない
仕事が獲得できないからといって規模の小さい会社から案件を受けていれば、稼げないコンサルタントになりかねません。そのため、稼げるコンサルタントになるためには企業の規模や予算を見抜く力が求められます。
企業の規模を見抜くためには、従業員数を参考にすると良いでしょう。いきなり大企業から案件を獲得するのは難しいかもしれませんが、中規模企業であれば市場によっては案件獲得のチャンスがあります。業種によって中小企業の定義は異なるので、以下の表を参考にしてください。
業種 | 中小企業 | 小規模企業 |
---|---|---|
常時使用する従業員数 | 常時使用する従業員数 | |
製造業、建築業、運輸業 | 300人以下 | 20人以下 |
卸売業 | 100人以下 | 5人以下 |
サービス業 | 100人以下 | 5人以下 |
小売業 | 50人以下 | 5人以下 |
よほど企業の運転資金に余裕がないと、小規模企業をコンサルしても高い報酬は発生しにくいです。小規模企業をコンサルする際は、投資と思って将来の利益を見越した業務を心がけましょう。
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営業が少ない
コンサルタントとして稼げない場合は営業数が少ない可能性が考えられます。そもそも業界同士のつながりやコンサルタント同士のつながりがない限り、案件が自動的に舞い込んでくる可能性は低いです。そのため、コンサルタントとして稼ぐには自ら営業する必要があります。
しかし、コンサルタントという業種の特性上、サービスを具体的に説明しづらく、営業に困ることもあるでしょう。そこで、どうしても案件の獲得が難しい場合は「成果報酬型」のサービスで営業してみるのも1つの手段です。
成果報酬型であれば企業としても無駄な支出が減らせるため、コンサルティングを利用する心理的ハードルが下がります。まずはサービスを利用してもらう、という意味でも、成果報酬型のサービスで提案してみてください。
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稼げるコンサルタントになるためには?
稼げるコンサルタントになるためには以下3つの項目を意識してください。
- 自分の強みを明確にする
- スキルや実績を再確認する
- 業界知識を増やす
自分の強みを明確にする
稼げるコンサルタントになるためには、自分の強みを明確にする必要があります。自分の強みが明確ではないコンサルタントはクライアントから信用されにくく、案件獲得につながりにくいです。さらに、大企業から中業企業までさまざまな規模の競合がいるコンサル業界では、明確な強みがないと市場に埋もれてしまいます。
まずは自分の強みを明確にすることが稼げるコンサルタントになる第一歩。コンサルタントの強みとして考えられるのは以下の5点です。
- 高い専門性
- コミュニケーション能力の高さ
- レスポンスの早さ
- 作業のスピード感
- 価格の安さ
フリーのコンサルタントとして稼ぐには、コミュニケーションのレスポンスを早めることも大切です。特に明確な強みが見当たらない場合には、レスポンスの早さをアピールしてみてもよいでしょう。
スキルや実績を再確認する
自分のスキルや実績を再確認することも大切です。どのようなスキルを今まで磨いてきたのか再確認しましょう。
IT関連のスキルであればプログラミング言語でも良いですし、基本情報技術者試験に合格した実績でも構いません。他にもどの規模の会社で働いてきたのか、どの役割を果たしてきたことがあるのかを洗い出してください。洗い出したスキルや実績が思わぬタイミングで役に立つ可能性もあります。
洗い出したスキルや実績をもとに自己分析を深めて、クライアントに明確なメリットを提示できるコンサルタントになりましょう。
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業界知識を増やす
コンサル業界で稼ぐためには業界知識が必須です。幅広く知識を増やすのではなく、特定の業界知識を増やすことで専門性を高め、その分野で活躍しやすい状況を作り出します。業界知識を増やすための方法は主に以下の通りです。
- 動画コンテンツを利用する
- 会社四季報や業界マップを読む
- 株式会社が公開しているステークホルダー向けの資料を読む
- SNSを利用する
- 実店舗に訪れる
コンサルタントとして稼ぐためには、上記の方法で得た知識を定着させて、人に話せたり、実務に活かしたりする必要があります。誰かに伝えるのも良いですし、ノートにまとめて体系的に理解するのも良いでしょう。得た知識が腐らないよう、定着させつつ随時アップデートしていく意識が重要です。
コンサルタントで稼ぐためにおすすめの業界は?
コンサルタントとして稼ぐためには以下の種類のコンサルタントになるのがおすすめです。
- ITコンサル
- 総合コンサル
- 戦略系コンサル
ITコンサル
ITコンサルタントは、クライアントが抱える悩みに対してIT技術を利用し、解決に導く専門家です。必ずしもシステム開発から携わるわけではなく、あくまでも経営課題の抽出と課題の解決方法を提案するのが主な仕事です。
だからといってシステム開発の知識が不要なわけではありません。クライアントが希望するシステムを言語化し、ベンダー企業にシステム開発を依頼する役割を持っているので、むしろシステム開発の知識は必要です。
また、近年ではDX化に伴いITコンサルの需要も増えています。そのため、稼ぐにはIT系のコンサルタントを目指すのもよいでしょう。
総合コンサル
総合コンサルとは経営課題に対する戦略立案から施策の実施まで、ワンストップで手がけているコンサルタントを意味します。幅広い業界のコンサルティングを提供していて、業界や機能ごとに部門が分かれているのが一般的です。
主に以下のコンサルティングファームが総合コンサルに当てはまります。
- アクセンチュア
- デロイトトーマツコンサルティング
- アビームコンサルティング
など
いずれも大手企業で人員が確保できているため、総合的なコンサルを可能にしています。フリーコンサルタントとして活躍する場合は、企業の業界や規模を絞って総合コンサルを実施するのが良いでしょう。実績が案件を呼ぶ好循環を作りやすく、実務の面でも取り組みやすくなります。
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戦略系コンサル
戦略コンサルは企業が抱えるマーケティング課題や経営課題などを解決するのが主な役割です。企業全体の経営指針から関わることも多く、人事や会計にまでコンサルティングの領域が及びます。
経営に関する幅広い知識が求められる一方で、ITや人事コンサルよりも報酬が高めに設定されていることが多いです。
稼げないコンサルタントにならないためには?
稼げないコンサルタントにならないためには、自分のサービスを安売りしないことが大切です。自分のコンサルを安売りしないためにも、スキルや実績を増やし、クライアントが依頼したくなるコンサルティングサービスを提供しましょう。