会社勤めをしている人の中には、フリーランスになって特技を活かしたり自由な働き方に憧れたりする人もいるでしょう。しかし、実際にフリーランスになるには何をすれば良いのか分からず、行動に移せないケースも珍しくありません。
この記事では、フリーランスを目指す人に必要な事前準備や求められる能力などを解説しています。フリーランスになって自分らしい働き方をしたいと考える人は参考にしてください。
フリーランスを目指すなら事前準備を入念に!
フリーランスを目指す人は、会社や団体などに所属しない働き方で生計を立てたいと考えているでしょう。その方が自分に合っていると感じたり、会社勤めに嫌気がさしていたりと理由は様々ですが、フリーランスになるだけなら難しいことではありません。
店を構える必要がある自営業、専門資格がないと業務に携われない職業以外は、開業届を出して「フリーランスの○○である」と名乗れば始められます。
ただし、その仕事で生計を立てられるだけの収入を得るには、事前準備が重要です。十分な準備をしないままフリーランスを始めてしまうと、生活に困窮する恐れもあるでしょう。
事前準備が重要な理由:スキルなし・実績なしでは仕事が取れない
企業が人材を直接雇用するなら、数か月~数年かけて教育するのが一般的。即戦力を期待しての中途採用でも、自社のやり方を身につけてもらうための期間を設けているものです。
そのため、スキルや実績だけで判断せず、社風に合った人柄や本人のやる気、ポテンシャルも重視した採用になるでしょう。しかし、雇用ではなくフリーランスに依頼する場合、クライアントはスポット的に働ける即戦力を求めています。
例えば社内で使う業務ツールの開発をフリーランスに依頼する場合、クライアントはどちらの人物を選ぶでしょうか?
- A:システム開発会社で10年勤務してから独立し、業務ツールの開発経験がある
- B:プログラミングスクールを卒業したばかりで、やる気がある
よほどのことがない限り、クライアントは「A」を選ぶでしょう。フリーランスは十分な能力がないと、仕事を受注できません。仮に受注できても相場以下の単価になり、生計を立てるのが難しくなります。
事前準備が重要な理由:仕事の取り方、業務の進め方を知る必要がある
会社勤めなら案件を取ってくるのは営業、取引先からの入金確認や支払い手続きは経理、社会保険や税金関係は人事・労務など、部署ごとに仕事を分担しています。
一方、フリーランスは営業から請求や入金確認、会計処理、税務処理など、実務以外の対応も必要です。仕事の取り方、業務の進め方や処理方法を知らないままフリーランスを始めると、仕事を受注できないだけでなく、受注後のトラブルにも繋がります。
問題なくフリーランス活動を進めるため、事前に必要な事柄を学んでおきましょう。
フリーランスを目指すための事前準備
ここからは、フリーランスを目指すための事前準備について解説していきます。一つずつ確認し、万全の体制でフリーランスを始められるようにしましょう。
自分を棚卸ししてどんなフリーランスになるのかを考える
まずは自分の得意・不得意分野、スキル、保有資格、経歴などを棚卸しし、生計を立てられる仕事が何かを考えましょう。
「得意なこともないし、スキルも持っていない」という場合は、「やっていて苦にならないこと」を考えるのも手です。自分にとっては難なくできることも、他人は誰かに変わってもらいたいと思うこともあります。そのようなニーズがあるからこそ、様々な代行業者が登場しています。
「好き」「得意」と言い切れなくても「不得意でない」なら、人より優れているポイントです。自分の強みを見つけて、フリーランスとして働く軸にしましょう。
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フリーランスになるまでの計画を立てる
フリーランスを目指すからといって、いきなり仕事を辞めて開業するのは早計です。どんなフリーランスになるかの方針に基づき、それに向けた計画を立てましょう。
フリーランスになるにあたり、知っておくべきことも多く、仕事が軌道に乗るまでの蓄えも必要です。何が必要かを考えて整理し、フリーランスになる時期を決めます。
なお、フリーランスになるために退職する場合は、繁忙期に引き継ぎ業務をしなくて済むよう計画したいところです。
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家族の理解を得る
生計を共にする家族がいる場合、働き方の変化や収入の増減があると家族にも影響します。
配偶者の就労状況や子どもの進学、親や兄弟への援助など、家庭ごとに必要な資金は異なりますが、フリーランスになることで何らかの変更が生じるなら事前に説明して理解を得ましょう。理解を得ないまま自分だけの判断でフリーランスになってしまうと、家庭内の問題に発展する恐れもあります。
家族が納得できる方針や計画を考え、理解を得てから行動に移しましょう。
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必要な資金を貯める
フリーランスの仕事内容によっては、開業時にイニシャルコストがかかる場合もあるでしょう。
現在の貯蓄はいくらあるか、どのようにして資金を工面するかもフリーランスになる前に考えておきます。事業資金を融資してもらう場合でも、ある程度の頭金(自己資金)は必要です。
また、開業資金が要らない仕事でも、フリーランスになった直後は収入が安定しない可能性もあります。最低限生活を守るための資金も準備しておきましょう。
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知識やスキルを身につける
現在の仕事に関連した分野や、過去に経験のある職種でフリーランスになるなら、業務についての学習は不要です。しかし、実務以外の会計や税務処理、フリーランスになった場合の社会保険などについては理解しておきましょう。
もしも、未経験分野でフリーランスを目指すなら、実務経験を積むために転職する必要もあるでしょう。開業にあたって専門資格が必要なら、その学習や試験合格も必須になります。
計画を立てて必要な能力を身につけていれば、フリーランスになってからも安心です。
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副業で受注して実力を試す
フリーランスとして独立してから仕事をスタートするのではなく、可能なら独立前に副業で受注するのもおすすめです。
最近は副業向けの案件を紹介してくれるエージェントや、クラウドソーシング、スキル販売など、副業案件とマッチングできるサービスが登場しています。フリーランスになる前の準備として副業で受注すれば、業務の進め方を体験できます。実際にやってみないとわからないこともあり、独立後のイメージも掴みやすくなるでしょう。
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人脈を開拓する
フリーランスになるための人脈は、絶対必要というわけではありません。しかし、フリーランスになってからを意識し、事前に人脈づくりを始めておくことで、情報収集にもなります。
職場関係の交流では、フリーランスに対して否定的な意見が多く出てくるかもしれません。フリーランスになるにあたっては、様々な懸念材料があるのも事実ですが、ネガティブな意見に多く接していると感化されてしまいます。
フリーランスとして働く人や、フリーランスに仕事を依頼している人などと交流する機会を持てば、こうした偏りを防げます。懸念される事柄についても、前向きな打開策を知るきっかけになるでしょう。
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フリーランスを目指す人に必要な能力
フリーランスを目指すなら、仕事のスキル以外にも必要な能力があります。これらの能力が身についているか、あるいはこれから身につけられそうか考えてみましょう。
営業力・提案力
フリーランスになって仕事を取るには、営業力や提案力が重要です。ここでの営業や提案は、人前に出て上手く話すスキルだけを指すのではありません。
コミュニケーションツールも多様化しており、対面や電話だけでなく、ビデオ通話やチャットツールで打ち合わせするケースも増えています。話すのが苦手であれば、プレゼン資料の提出や文章でのコミュニケーションを密にするなどでも、営業・提案となります。
SNSやブログでの発信も営業活動になるので、自分に合ったツールを活用し、案件獲得のスキルを磨きましょう。
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計画性
仕事の受注量や予定を、全て自分で決められる自由さがフリーランスの魅力です。しかし、計画性がなく、進捗の見通しが立てられないと業務に支障をきたすでしょう。
納期に間に合わない、予定していたクオリティに達しないといった仕事のやり方では、信頼を失います。
どの業務にどれくらい時間を要するか、アクシデントがあった場合のフォローはできるかなどを考慮し、計画的に仕事を進める能力が必要です。
自己管理能力
フリーランスは働く時間を自由にできる反面、生活が不規則になりやすい部分もあります。計画性とも関連する能力ですが、自身の体調を含め自己管理ができていないと仕事に影響するでしょう。
仕事とプライベートを線引きし、効率よく仕事を進める能力も大切です。
責任感
会社勤めなら責任感が不要ということではありませんが、会社に所属していれば問題が発生しても、周りのフォローが得られます。不安があっても同僚や先輩に相談したり、上席の指示を仰いだりして、適切な進め方を考えられるでしょう。
しかし、フリーランスは全て自分の判断で行動し、責任も負うので、プレッシャーに感じるかもしれません。
フリーランスは責任を持って誠実に仕事をすることで、信頼を得られます。仕事の中で起きることは全て自分ごととして対応し、責任感を身につけましょう。
情報収集や学習能力
会社に所属していれば、日々の会話から業界のトレンドを聞いたり、業界専門誌を目にしたりと、情報を得る機会があるでしょう。会社が業務に必要な講習を受けさせてくれることもあり、意識しなくても学習機会があるものです。
しかし、フリーランスは自分で行動しないと、こうした機会が得られません。自ら積極的に学びにいく能力がないと、フリーランスになって成功するのは難しいと言えます。
同業者との交流や仕事に関連するセミナーの受講、読書や各種メディアから発信される情報などに意識を向け、学習機会を設けましょう。
フリーランスを目指す時・なった時の注意点
フリーランスを目指す時、フリーランスになったときの注意点も紹介します。思わぬトラブルで不利益を被る可能性もあるので、注意しましょう。
前の職場に対して不義理をしない
フリーランスを目指すために会社を辞める場合、気持ちよく退職できるようにしましょう。
どこでどんな繋がりがあるかは、わからないものです。辞めるからといって礼儀を欠いた振る舞いをしていると、自身の評判を落とします。前職と繋がりのあるところから悪い評判が流れてくると、フリーランスとしての仕事に影響するでしょう。
また、前職の取引先を不正に奪う行為や、業務で知り得た情報を流用するのも問題です。線引きが難しい部分もありますが、トラブルを避けるために注意しましょう。
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保険や年金の切り替え
会社勤めからフリーランスになると、社会保険や年金の切り替え手続きが必要です。これまで給与から自動的に差し引かれていた料金を自分で納めるようになります。手続きを忘れて納付できていないと、医療機関の受診時や年金受給時に困るでしょう。
公的保険以外にも、生命保険や損害保険などの加入状況も見直しが必要です。働き方が変われば 最適なプランも変化します。
会社勤めなら業務に起因する病気・ケガは労災保険の給付があり、一定期間働けない場合は傷病手当もあります。しかし、フリーランスにはこうした補償がありません。もしもの場合に備え、医療保険を手厚くしたり、就業不能保険に加入したりする必要があるでしょう。
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確定申告は期限内に、正確に
フリーランスは1年間の収支を自分で記録し、翌年2月16日~3月15日までの間に確定申告をして納税します。
期間内に申告を忘れていても期限後申告が可能ですが、場合によっては無申告加算税や延滞税が課せられ、負担が増えるでしょう。確定申告の内容を誤った場合、後から修正申告できますが、少なく申告していた場合は不足分の納税とその延滞税がかかります。
余計な負担や手間をかけないためにも、確定申告は期限内に正確に行ないましょう。
参考:確定申告を忘れたとき|国税庁
参考:確定申告が間違っていたとき|国税庁
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安定して働けるフリーランスを目指そう!
ただフリーランスになるだけなら簡単ですが、生計を立てられるだけ稼げるようになるには、事前準備が重要です。しっかりと準備を整えて、安定して働けるフリーランスを目指しましょう。
また、フリーランスは実務だけでなく、営業活動や事務処理なども自分でしなければなりません。仕事に付随する業務を問題なく行えるよう、必要なスキルを身につけておくのも大切です。