フリーランスとしての独立を考えている人にとって「フリーランス人口が増えている」という話はとても気になりますよね。フリーランス人口が増えているということは、簡単にいえばライバルが増えているということ。仕事を獲得できるのかどうかに関わってきます。
また、これからフリーランスを志す方にとっても、市場が飽和してしまうのか否か、という点は重要なポイントとなるでしょう。
そこで本記事では以下の項目について詳しく解説。
- フリーランス人口がどれくらい増加したのか
- 増加した理由はなにか
- フリーランスという働き方を選んだ方の理由
- フリーランスとして活躍し続けるために必要なこと
これからフリーランスへの就職・転職を検討している方や、キャリアアップを目指すフリーランスの方はぜひ参考にしてください。
フリーランスはどれくらい増加しているの?
まずは大手クラウドソーシングサイト「ランサーズ」による「フリーランス実態調査2021」をもとに、フリーランスを取り巻く状況をご紹介します。
まず、長期スパンでフリーランス人口の推移を見てみましょう。2018年から2020年にかけては減少傾向でしたが、2021年に急激に増加し、2021年度のフリーランス人口は1,670万人となりました。これは労働人口の24%にあたると言われています。
上記の結果は「1年以内にフリーランスになった人」が2021年度に急増したためと考えられます。2020年度にフリーランスになった人は320万人でしたが、2021年度では517万人と、急激にフリーランス人口が増加しました。
「少し数が多すぎるのでは?」と思う人もいるでしょう。その理由は、同調査が「本業」だけではなく「副業」としてフリーランス活動をしている人も調査対象に含めているためです。この調査における「フリーランス」とは、以下の条件に当てはまる人を指しています。
①本業が他にあり、副業としてフリーランス活動をしている人 ②2社以上の企業と契約を結びフリーランス活動をしている人 ③特定の勤務先を持たずフリーランス活動をしている人 ④個人事業主または法人経営者
新型コロナウイルス感染症を契機に勤務体系が在宅勤務となったことで余裕が生まれ、フリーランス活動を始めた人は①②に該当します。同調査では、上記の4タイプすべてでフリーランス人口が増加したという結果になりました。
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フリーランス人口が増加している理由は?
これほどまでフリーランス人口が増加している理由としては、主に以下の5点があげられます。
- 働き方改革による後押し
- リモートワーク・テレワーク増加による働き方の多様化
- フリーランス向け支援サービスの充実
- 変化する社会情勢への対応
- 働く人の価値観の変化
ひとつずつ説明します。
働き方改革による後押し
大前提として、厚生労働省が進めている「働き方改革」がフリーランス増加のきっかけとしてあげられます。「働き方改革」において国が副業や兼業を推奨したことを受け、副業を解禁する企業が増加する形となりました。
国が副業を推奨する理由としては、主に以下があげられます。
- 多様なキャリア形成が可能
- 所得の増加
- 自己実現の追求
- さまざまなスキルの獲得
- 労働力の確保
「働き方改革」では、長時間労働の改善や多様な働き方の実現も推進されました。その結果、これまでの勤務形態にとらわれない在宅勤務やフリーランスなどの働き方にも注目が集まり、認知度が上がったと考えられます。
テレワーク(リモートワーク)推進による働き方の多様化
「働き方改革」の一環として、総務省や厚生労働省はテレワークを導入する企業の支援を行っています。
テレワークは、ICT(情報通信技術)を利用することで働く場所や時間にとらわれない働き方を指します。国は用語をテレワークで統一していますが、フリーランス業界でよく使われるリモートワークと同じ意味です。
柔軟な働き方であるテレワーク・リモートワークを国が推進することで、多様な働き方が社会に受け入れられました。
フリーランスが働く土台が整ったことも、フリーランス人口が増えた理由のひとつといえるでしょう。
フリーランス向け支援サービスの充実
フリーランス向けの支援サービスが充実してきたことも、フリーランス人口増加の理由にあげられます。
例えば、フリーランスが仕事を探す際に利用するマッチングプラットフォーム。以下のように、多くの方法があります。
- 自分が運営するブログやSNS
- クラウドソーシングサイト
- フリーランス向けエージェント
フリーランスが仕事を獲得する際のハードルが下がっていることが、フリーランス人口増加の大きな後押しになっています。
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変化する社会情勢への対応
2020年から猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症による影響も大きな理由でしょう。社会情勢への対応として、以下のようにフリーランスの道を選択した人が増えていると考えられます。
- 感染症対策のため在宅勤務になり、通勤時間がなくなったことで生まれた時間を副業にあてている人
- 勤め先を解雇され、フリーランスに転職した人
- 本業の労働時間が減少したため、収入の補填として副業でフリーランスを始めた人
働く人の価値観の変化
近年、「企業に属して働くことが当たり前」という価値観が変化し、ワークライフバランスの充実に重きを置く人が増えてきました。そのため、労働時間の調整がしやすいフリーランスへ注目が集まっていることもフリーランス人口が増えた要因といえるでしょう。
先人に聞く「フリーランスという働き方を選んだ理由」
ここでは、フリーランスとして働く人がどうしてその働き方を選んだのか、理由を紹介します。フリーランスへの転職を考えている人のために、フリーランスのメリット・デメリットについても説明するので参考にしてください。
フリーランスを選んだ理由は?
令和2年に内閣官房日本経済再生総合事務局が発表した「フリーランス実態調査結果」によると、フリーランスを選んだ理由としては「自分の仕事のスタイルで働きたいため」が最多という結果になりました。
「働く時間や場所を自由にするため」が次につづき、「収入を増やすため」「より自分の能力や資格を生かすため」などの理由もあげられました。
フリーランスになる理由はさまざまですが、多くはフリーランスという働き方のメリットに魅力を感じ、仕事を選んだ人が多いことが読み取れます。
出典:フリーランス実態調査結果│内閣官房日本経済再生総合事務局
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フリーランスが選ばれる理由である「フリーランスのメリット」を知っておこう
ここでは、フリーランスのメリット3点を紹介します。
①仕事のスタイルを自由に決められる
アンケート結果の上位にあったように、フリーランスは自分で自由に仕事のスタイルを決められるのが大きなメリット。満員電車から解放され、自宅やカフェなどリラックスできる場所で仕事ができます。働く時間も自由に選べるので、家事、出産や子育て、介護などとの両立も可能。休日も自由に設定できます。
②自分の能力を生かして頑張った分だけ収入がアップ
会社員の場合は収入を上げるのはなかなか大変ですよね。フリーランスであれば頑張り次第で収入を上げられます。仕事内容を自由に選べるので、自分が得意なことを仕事にできればスキルや成果によって高い報酬が得られます。
また、フリーランスには定年退職がありせん。定年後に再雇用制度を設けている企業も多いですが、仕事内容や収入などに制限がかかることが多いですよね。フリーランスであれば定年前と条件は変わらず、働きたいだけ働けます。
③人間関係によるストレスが減る
フリーランスはどこかの組織に所属して働くのではなく「業務委託」の勤務形態をとることが多いため、人間関係によるストレスが減るメリットがあります。取引先とのやりとりは必要なのでストレスが完全にゼロになるわけではありませんが、会社員ほど複雑な人間関係に巻き込まれることがなくなります。
独立してから後悔しないために「フリーランスのデメリット」も知っておこう
フリーランス人口が増えているからと言って、メリットだらけの職業というわけではありません。フリーランスへの転職を考えている人は、デメリットについてもよく理解しておきましょう。
①収入が安定しない
働いた分だけ収入アップが見込めるフリーランスですが、仕事が途切れてしまえばとたんに収入はゼロに。
フリーランスは自分で仕事を獲得する必要がありますが、業績悪化や景気の影響を受けやすく、常に一定の収入が確保できる確証はありません。フリーランス人口が増えたことで、自分のライバルが増え仕事を獲得しにくくなることもあるでしょう。
また、会社員であれば体調不良で休んだ場合でも毎月の給料が保証されていますが、フリーランスは成果をあげなければ収入に結びつきません。災害や事故などのトラブルが起きた場合も同様です。
②働き過ぎにより生活リズムが崩れやすい
フリーランスには就業規則がありません。そのため、収入アップを狙って仕事を詰め込んでしまい就業時間が長くなってしまうこともしばしば。肉体的な疲労は精神的な疲労にもつながるため、オンとオフをしっかり分ける自己管理能力が求められます。
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③社会的な信用が得にくい場合がある
フリーランスは企業に属さず定期的な収入がないため、ローンやクレジットカード、賃貸物件の審査に通りにくいというデメリットがあります。しかし、フリーランス人口が増えたことで今後フリーランス向けのサービスはますます拡充していくでしょう。実際、フリーランス向けの保険や、ITフリーランス専用のクレジットカードなどのサービスがうまれており、フリーランスでも安心して働ける環境整備が進んでいます。
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フリーランスとして活躍し続けるために必要なこと
フリーランス人口が増え仕事のライバルが増えたとしても、自分の市場価値が高ければさほど問題にはなりません。ここでは、フリーランスとして活躍し続けるために必要なことについて解説します。
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他者との差別化を意識しながらスキルを磨き続ける
フリーランスは仕事を獲得できるかどうかが収入に大きく影響します。数多くのライバルから自分を選んでもらうには、他者との差別化が大切です。専門的な資格や職務経験があれば、自分だけの武器になるでしょう。仮に特別な資格や職務経験がなくても、スキルを磨くことでライバルとの差別化は可能です。
どの分野で活動していきたいかを考え、武器になるスキルを磨いていくとよいでしょう。
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仕事を獲得できるプラットフォームを複数もつ
フリーランスとして働き続けるためには、安定した収入が欠かせません。ですが「フリーランスのデメリット」で述べた通り、フリーランスの収入はさまざまな要因で左右される傾向にあります。
そのため、仕事を獲得できるプラットフォームを複数確保しておくことをおすすめします。体調不良や事故などを完全に防ぐことは難しいですが、ひとつの取引先で仕事量が減ってもほかで調整できる場合があります。以下にプラットフォームの例をあげます。
- 知人に紹介してもらう
- TwitterなどのSNS
- ブログ
- クラウドソーシングサイトなどのマッチングサービス
- フリーランス向けエージェント
常に仕事がなくなったときのことを考え、先手を打っておきましょう。詳しいマッチング方法やプラットフォームの選び方については、以下の記事で詳しく解説されているので参考にしてください。
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信頼される人物であり続ける
フリーランスは自分から営業して仕事を獲得する必要があるため、クライアントから見て信頼されるような人物でなければ仕事をもらうのは難しいでしょう。信頼性をはかるものとしては以下があげられます。
- 過去の経歴や実績(ポートフォリオ)が充実している
- レスポンスが速い
- 納期管理ができる
- 自発的に報連相ができる
多くのクライアントは、仕事を依頼する際に過去の経歴や実績を参考にしています。自分が依頼したい内容と似ている案件を過去に経験している人であれば、任せても大丈夫だろうと判断できるためです。
しかし、いくら過去の実績が素晴らしくても、それだけでは継続して仕事をもらうことは難しいでしょう。レスポンスが遅かったり案件を抱えすぎて納期を守れなかったりした場合は、取引先を不安にさせてしまいます。仕事にはトラブルがつきものですが、自発的に報告・連絡・相談ができる人であればより信頼してもらえるでしょう。
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フリーランスを目指すならできることから始めよう
今回は、フリーランスについて以下の内容を中心に説明しました。
- フリーランス人口はどれくらい増加したのか
- フリーランスが増加した理由
- フリーランスという働き方を選んだ理由
- フリーランスのメリット・デメリット
- フリーランスとして活躍し続けるために必要なこと
フリーランス人口の増加は、これからフリーランスを目指す人にも多かれ少なかれ影響があります。あらためてフリーランスになるメリット・デメリットを見直し、そのうえでフリーランスを目指すという人は、仕事を獲得し続けるためにできることから取り組みましょう。
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