フリーランスという働き方に注目が集まり、自分もそのように働けないかと考える人も増えているようです。

今回はフリーランスにはどんな仕事があるのか、始めやすい仕事や注意点について解説します。フリーランスという働き方に興味のある人は、参考にしてみてください。

フリーランスは組織に所属せずに働く人全般を指す言葉

フリーランスは、一般的に組織に所属しない働き方をする人全般を指しています。フリーランスの人口については、調査期間や対象者の条件によって幅があるものの、増加傾向にあるようです。

出典:新・フリーランス実態調査 2021-2022年版|ランサーズ

フリーランスが増加している背景には、コロナ禍をきっかけとする多様な働き方や、副業の浸透・解禁などが挙げられます。

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副業・複業フリーランスというケースも

ひと言にフリーランスといっても、専業でしっかり稼いでいる人もいれば、隙間時間を使った副業フリーランスなど、実態は様々です。

  • 開業してフリーランスの仕事を本業にしている人
  • 会社勤めをしながら副業としてフリーランスをしている人
  • 家事や育児、介護の合間の短時間業務としてフリーランスをしている人
  • 複数の事業をフリーランスで展開している人

このように、いくつかのパターンがあるため、各自の事情に合わせて働きやすい点もフリーランスになる人が増えている要因でしょう。

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フリーランスで働けるのはどんな仕事?

公務員や特定の団体に所属しないと従事できない仕事以外は、ほとんどの場合フリーランスになれます。フリーランスで働く職業の分類は様々な方法がありますが、代表的な例を紹介します。

エンジニア系

IT系の人材が不足していることから、プログラマーやシステムエンジニアなどのフリーランスも需要が高まっています。プログラミングやシステム開発などを行なうIT企業で働いた後、フリーランスとなるケースが一般的です。

また、エンジニアといっても様々な分野があり、どのような案件に携わるかでも求められるスキルが異なります。フリーランスエンジニアになるには、自分のスキルがどんな分野で活きるのか、今後需要のあるスキルが何であるかを見極め、十分な実務経験を積んでおく必要があるでしょう。

多くの場合、指定された制作物の完成をもって報酬を受け取りますが、システムの運用・保守やメンテナンスなどでは月額報酬を受け取って、トラブル発生時に対応するといった働き方になることもあります。

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デザイン・クリエイティブ系

イラストレーターやグラフィックデザイナー、Webデザイナーなど、デザインやクリエイティブな領域の仕事もフリーランスで働く人が多い職種です。カメラマンや動画の企画・編集、メイクアップアーティストやスタイリストなども、このジャンルに含まれることがあります。

独学で学んでフリーランスになる人もいますが、現場経験を積んでから独立する方が良いケースがほとんどです。クライアントとの接し方を知り、実務経験があった方が仕事も取りやすくなります。

この分野の仕事はクライアントの依頼を受けるほか、ストックフォトなどによる報酬を得る方法もあります。サイトに作品をアップすると、写真素材や画像素材としてダウンロードされた回数に応じた報酬が受け取れるので、需要のある作品を作れれば固定収入になるでしょう。

コンサル系

コンサルタントの仕事もフリーランスで働きやすい仕事です。経営戦略やM&A、業務改善など、特定分野での知見を生かし、企業や個人の課題を解決する施策を提案・実行します。

コンサルティングファームを経験してからビジネス系のコンサルタントとして独立するケースもあれば、IT業界での経験を活かしてITコンサルタントやDXコンサルタントになる、人事部門や人材紹介会社の経験を活かしてキャリアコンサルタントになるなど、様々なパターンが考えられます。

時間単位で相談業務の報酬を得たり、月額報酬制で面談や助言を行なったりといった働き方が一般的です。

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ライター・編集系

メディアに掲載する記事や書籍の執筆、編集などの仕事も、昔からフリーランスが一定数いる仕事です。特に最近はWebメディアが増えており、Webライターの需要が高まっています。

ただし、Webライターは始めやすい仕事であるため、副業としている人も多く、単価の低い案件も目立ちます。専門知識や資格を持っているなら、高単価な案件も取りやすくなるでしょう。

執筆者や監修者、編集者として書籍出版に携わり、名前が載るようになれば大きな実績としてアピールできます。

原稿や企画ごとに単価を決めて、成果物の提出によって報酬を受け取る働き方になります。

代行業系

運転代行や家事代行、事務代行、経理代行、営業代行など様々な分野で代行業が登場しています。得意分野がこうした需要のある内容なら、代行業でフリーランスで始めることも可能です。

業務内容によっては休日だけ・特定曜日の数時間だけといった働き方もしやすく、副業としている人も多いでしょう。

講師業系

自分の実務経験に基づいたアドバイスができ、人に教えるのが得意な人なら、フリーランス講師という働き方もあるでしょう。

学習塾や予備校の講師は教員免許を持っている人を雇用しているケースが多くなっていますが、社会人向けの英会話やプログラミング、デザイン、資格取得スクールなどでは、外部の人材と業務委託しているケースもあります。教える領域の知見や資格が重視されるので、教員免許も必要ありません。

最近はオンラインレッスンも普及しているので、教室に行かずに授業できるところも増えています。本業の空き時間を利用し、副業・複業として講師業をするのも可能です。

インフルエンサー系

動画投稿や配信、SNSなどで注目を集め、ファンを獲得して収益を得るインフルエンサー系のビジネスもフリーランスで行なっている人がいます。

何万、何十万ものフォロワーを獲得し、広告配信や投げ銭、オリジナルグッズの販売、アフィリエイトを含む企業広告、コミュニティ運営などで収入を得る方法です。YouTuberやVTuber、ライバー、インスタグラマーなどがこの分野の仕事にあたります。

定期的に注目度の高い投稿・配信を行なう必要があり、特定分野の知見や企画力、ライブ配信も行なうならトーク力なども重要です。

フリーランスを始めやすいのはどんな仕事?

フリーランスを始めやすいのは、初期投資がかからず、専門資格が不要な仕事です。これからフリーランスを目指そうとするなら、始めやすさも考慮して業務内容を選びましょう。

ただし、始めやすいからといって、誰にとっても最適な仕事であるとは限りません。フリーランスの仕事を選ぶときは、様々な視点から考える必要があります。

初期投資がかからない仕事

店舗を構えたり在庫を仕入れたりと、初期投資が高額になる仕事は起業のハードルが高くなります。資金を準備するために時間がかかり、融資を受けても負債を抱えながらの開業となるため、プレッシャーがかかります。

自分のスキルとすでに用意できている環境で始められる仕事なら、高額な初期費用はかかりません。資金調達の不安がなく、フリーランスを始めやすくなります。

コンサルタントやライター、講師業は自分のスキルと実績で仕事ができるので、参入ハードルが低い仕事です。エンジニア系やデザイン・クリエイティブ系の仕事も、すでに必要な環境が整っているなら、初期費用を抑えてスタートできるでしょう。

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専門資格不要な仕事

フリーランスの仕事を続けていく上で、専門資格が有利に働く場面もあり、スキルアップのため資格取得を目指すのも良いでしょう。しかし、最初から資格が必要な仕事を目指してしまうと、フリーランスを始めにくくなります。

該当資格をすでに持っているなら問題ありませんが、資格取得までに時間や費用がかかるなら、本当にその資格を使った仕事をやりたいのか、取得による効果はどれくらい得られるのかなど慎重に考えましょう。

おすすめの仕事は人によって異なる

フリーランスとして働ける仕事には様々な種類があり、各自のスキルや経験によっておすすめの仕事内容は異なります。

フリーランスを始めるなら「人気がありそうだから」「稼げるみたいだから」といった安易な理由で仕事を決めるのは禁物。始めやすい仕事であっても、自分に向いていなければ余計な費用や労力を費やしてしまいます。

現在のスキルや経験、これからやりたいことなどを棚卸しして、フリーランスの仕事内容を決めましょう。

フリーランスの注意点

フリーランスになると、働き方以外の面でも会社員とは異なる点が出てきます。こうした注意点を踏まえ、必要な準備を整えてからフリーランスになりましょう。

自己管理が重要になる

フリーランスは自由な働き方である反面、自己管理が重要です。作業の遅れを指摘してくれる上司や、手伝ってくれる同僚はフリーランスになると近くに居ません。

納期や進捗が遅れ、クライアントとの約束を果たせないと、信用を失う結果になるでしょう。仮に体調不良や予期せぬトラブルが原因であっても、遅れて良い理由にはなりません。

進捗状況を把握し、遅れが出ても調整する時間的余裕を見ておくとともに、体調管理も含めたマネジメントができるようになりましょう。

仕事が軌道に乗るまでは収入が安定しない

フリーランスになった直後は仕事が軌道に乗らず、収入が安定しない可能性もあるので、十分な蓄えを用意しましょう。しっかりと計画を立て、生計を共にする家族がいるなら理解を得ておきます。

蓄えや計画などの準備が整った状態であれば、不安定な時期があっても経済的・精神的安定に繋がります。余裕を持って仕事に取り組め、成果を上げやすくなるでしょう。

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営業も経理も事務処理も行なう

フリーランスの仕事では自分の担当業務だけでなく、営業活動や経理処理、事務手続きなども自分でしなければなりません。面倒に感じる人もいるかも知れませんが、こうした業務を怠ると、不利益を被る可能性もあります。

もし、自分で処理しきれない部分があるなら、人を雇ったり外注したりなどの対策を取りましょう。

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社会保険や税務の知識を身につける

社会保険や税務の手続きも、フリーランスは自分で行なうので、最低限の知識を身につけておきたいところです。会社員とフリーランスの違いを簡単にまとめたので参考にしてください。

 会社員の場合フリーランスの場合
社会保険会社が加入する健康保険に入る国民健康保険に入る
年金国民年金と厚生年金保険に入る国民年金に入る
納税給与から差し引かれ、年末調整を受ける確定申告をして納める

どのような手続きが必要になるのか、どんなタイミングで納めるのかなど、事前に理解しておきましょう。

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クレジットカードやローン審査で不利になることもある

新しいクレジットカードを作る時やローンを組む時の審査で、フリーランスは不利になることもあります。審査に通らなかったり、通っても借入上限を下げられたりする可能性があります。

こうした事態を考慮し、フリーランスになる前に審査が必要な手続きを済ませておきましょう。

フリーランスになってから審査を受ける場合は、自分の信用情報を傷つけないよう、各種支払の滞納がおきないよう管理が重要です。

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定年はないが退職金もない

フリーランスは定年という概念がなく、仕事を受けられる限りは何歳になっても続けられます。しかし、退職時に受け取れる退職金も存在しません。

老後資金については、会社員やサラリーマンとは違った計画を立てておく必要があるでしょう。

預貯金や投資などで積み立てたり、将来受け取れる年金額を増やせるよう国民年金基金に加入したりなど、早い段階から検討しておくことが大切です。

どんな仕事でフリーランスになるかを考えて起業しよう

フリーランスは会社や団体などの組織に属さず、個人で活動する働き方全般を指しています。フリーランスで働く仕事の例としては

  • エンジニア系
  • デザイン・クリエイティブ系
  • コンサル系
  • ライター・編集系
  • 代行業系
  • 講師業系
  • インフルエンサー系

などが挙げられ、その中でも様々な職種が存在します。

フリーランスを始めやすいのは、初期投資がかからない仕事や専門資格が不要な仕事です。しかし、その仕事が適しているか、稼げるようになるかは、人それぞれ異なります。

自分の適性を見極め、フリーランスの仕事を選びましょう。