フリーランスとして仕事をしていたけれど、正社員として転職・再就職を目指したいと考えている人も多いのではないでしょうか?

フリーランスと正社員は働き方や福利厚生に大きな違いがあります。自身に合った環境で仕事をしたいですよね。

そこで今回は、フリーランスから正社員に転職・再就職をする際の注意点や成功ポイントを解説します。基本的なポイントを押さえておけば、正社員雇用は難しくありません。

希望が叶う環境で働けるよう、今から準備しておきましょう。

フリーランスから正社員になりたい理由

なぜ、フリーランスとして仕事をしている人が、正社員に魅力を感じるのでしょうか?

置かれている状況は個人で異なるため、一言で表すのは難しいかもしれません。ここでは、多くの人が感じる正社員になりたい4つの理由を解説します。

安定した収入を得たい

フリーランスの仕事は不安定です。取引先であるクライアントと契約をしていても、一定の仕事が毎月約束されているわけではありません。

そのため、仕事の受注が多いときは収入が多いですが、何らかの事情で受注が途切れてしまうと直接収入に響きます。

正社員であれば月給という形で一定の給与が約束されていますから、安定した収入を得たい人が正社員を目指す傾向にあるようです。

▼関連記事▼
フリーランスで収入を増やしたい!稼ぎやすい分野を探す方法
仕事が継続してやってくるフリーランスの人物像はこんな人!10の特徴を解説

チームで仕事をしたい

フリーランスのよさは仕事の幅も業務も自身で決めて動ける点が挙げられます。逆を言えば何か困ったときや相談したいときも自身のスキルで解決するか、自分で人脈を見つける必要があります。

正社員雇用であれば上司や部下、他部署との関わりがあり、孤独感を覚えずに仕事ができるでしょう。一度フリーランスになってみたものの、孤独感を覚えて正社員に転職・再就職を目指す人は一定数いるようです。

▼関連記事▼
誰も褒めてくれない孤独なフリーランス、承認欲求を満たす5つのコツ
フリーランスの孤独を乗り切るための「フリーランス・コミュニティ」活用法

大きな案件に取り組みたい

大きな案件に取り組みたいフリーランスも、正社員を目指す傾向があります。フリーランスだと個人でのネームバリューがない限り、大きな案件の仕事は舞い込みません。スキルを磨いても、大きな企業の正社員とは任せられる仕事の規模が異なります。

会社組織の仕事であれば、フリーランスでは挑戦できなかった大きな案件に関われるチャンスがあるでしょう。自身のスキルに自信がある人や、叶えたい目標がある人は正社員のほうが近道かもしれません。

▼関連記事▼
受注前に知っておきたい!単価UP&顧客に選ばれるフリーランス5つの「掟」

スキルを磨きたい

フリーランスが仕事を獲得するには、スキルを武器にした営業活動が欠かせません。自身のスキルを磨く時間が取れないため、スキルを磨きたいという理由で正社員を目指す人もいます。

正社員であればスキルを磨く時間的余裕がある他、会社によっては勉強や資格取得のための補助制度が整っている場合もあります。スキルアップを目標に正社員への転職を希望する場合は、補助制度が整った会社を選ぶとよいでしょう。

応募理由に「スキルを磨きたい」と提示してしまうと、自己都合の志望動機になるため控えましょう。就職した後どのように活躍できるのか、企業が採用するメリットを伝えることが重要です。

▼関連記事▼
壁打ち相手を持とう!フリーランスのスキルアップに役立つ「壁打ち相手」とは?
フリーランスプログラマーで起業する前に己を知っておくスキルチェックリスト

フリーランス経験者は企業にとって魅力 

フリーランス経験者は、企業の採用者にとって魅力的だと言えます。

なぜなら、フリーランスは個人で仕事を獲得している分、一定のスキルと実績があり、即戦力として活躍できる可能性が高いからです。企業が採用するなら、優秀な人材を獲得して利益につなげたいのが本音です。そのため、フリーランスで収入を得ていた人材は、優秀な人材として映るでしょう。

特にIT業界のエンジニアは求人に対して応募者が足りない傾向にあります。

「IT人材需給に関する調査」(平成30年|経済産業省)によると、2018年時点でIT業界の人材不足は22万人に上り、年々上昇していくという試算結果が出ています。人材が不足していれば、それだけ企業は積極的に採用活動を行うため、IT業界への正社員転職・再就職は特に可能性が高いと言えるでしょう。

ただし、フリーランスの人材はあえてフリーランスの働き方を選んだ人、と受け取ることもできます。組織になじめるのか、企業の中で長く働いてもらえるのかは採用側が気になるポイントなので、面接の際に積極的にアピールをして企業側の不安を払拭するようにしましょう。

▼関連記事▼
フリーランスになると年収がアップする!?フリーランスエンジニアの平均年収997万円!
フリーランスITエンジニアになるには?必要なステップやメリットを解説

フリーランスから正社員へ転職・再就職する際の面接ポイント 

フリーランスから正社員へ転職・再就職する際は、面接試験をパスしなければなりません。雇用する会社側と、採用される個人との間でお互いの理解を深める必要があります。

また、フリーランスから正社員を志望する人材を採用する際、人事としては払拭しておきたい不安ポイントがあります。面接でよいイメージにつながるよう対策をしておきましょう。

▼関連記事▼
フリーランスの履歴書の書き方についてのガイド!採用率が高まる書き方のヒントやテンプレートを伝授

正社員を目指す理由をしっかり伝える

フリーランスから正社員を目指す人材は、「会社がつらくなったらまたフリーランスに戻ってしまうのでは?」と懸念されることがあります。

会社に雇用され貢献するには、一定の期間勤める必要があります。一般的に、会社の業務を覚えて身に着けたスキルを会社内に還元するまで3年かかると言われています。会社側としても給与を支払って教育しているので、会社に貢献できるまでは在籍してもらいたいのが正直な意見でしょう。

すぐにフリーランスに戻る気がないということを、面接でしっかりアピールする必要があります。自身が正社員になって何を達成したいか、目標としているスキルやビジョンは企業とマッチしているかなど、ポジティブな視点で伝えるとよいでしょう。

即戦力をアピールする

フリーランスの人材が特に求められているのは、専門的なスキルです。正社員として雇用された場合、即戦力としてすぐに企業に貢献できる点をアピールしましょう。

実績やスキルをわかりやすく伝えられるよう、まとめておくとよいですね。

採用担当者が感じるであろう不安ポイントを事前に把握した上で、「ぜひ採用したい」と思ってもらうためにはどうすれば効果的か、念入りに考えておきましょう。

具体的な数値や達成した事業など、わかりやすいアピールポイントがあると人事も把握しやすいでしょう。

協調性・コミュニケーション力をアピールする

正社員として働くには協調性やコミュニケーション力が欠かせません。フリーランスは個人で仕事の判断をして働くことがほとんどです。そのため会社組織に馴染めるのかも人事が気にするポイントです。

面接官とのやり取りで協調性やコミュニケーション力を見られている点は意識しておきましょう。相手の目を見てしっかり受け答えをするのはもちろん、質問の趣旨を汲んで答えられているか、自己主張が強すぎないかは見られているポイントです。

自身を取り繕う必要はありませんが、面接の場でよい印象を与えられるよう振る舞う必要がある点は留意しておきましょう。

フリーランスから正社員になる3つの方法 

フリーランスから正社員に転職・再就職する方法を3つ、ご紹介します。

自身に合った方法で就職活動をすることが得策ですが、いくつかの方法を組み合わせてもよいでしょう。また、正社員雇用を目指す場合は転職期間を長いスパンで見積もって、じっくり企業を検討する姿勢も大切です。

▼関連記事▼
フリーランスにおすすめの求人サイト15選!求人サイトを利用しない稼ぎ方も紹介

取引先に正社員での採用を打診してもらう

1つ目は、フリーランスとして取引している企業に正社員として雇用してもらう方法です。これまで仕事に一緒に取り組んだことがあると、お互いの人柄や業務の流れを把握しているため、正社員になってからも比較的スムーズに馴染めます。

フリーランスとして契約を結ぶ際やクライアントとの面談の際、正社員への転職を考えていると伝えておくと、クライアントとしても採用を検討しやすくなります。

また、フリーランスとして仕事を請け負った際に、正社員としてどのように活躍できるのかイメージしてもらうためにも、積極的な提案やスキルの提供を行うと声がかかりやすくなります。

転職サイト・転職エージェントを利用する

転職サイトや転職エージェントを利用するのも効果的です。さまざまな企業が転職サイトや転職エージェントを運営していますから、自身に合ったものを選びましょう。

2つの違いはエージェントの存在です。自身がこれまで培ってきた実績を売り込む際にエージェントがいた方が有利な場合もあります。また、エージェントなら非公開の求人を紹介してくれる場合があり、転職サイトで探すより、よい条件の求人が見つかる場合もあります。

一方で、エージェントもビジネスであり、個人との相性もあります。エージェントが間に入って転職活動を進めるのが負担に感じる場合や、幅広い求人の中から働きたい企業を自分で探したい場合は、転職サイト方が適しています。

▼関連記事▼
パーソルイノベーション調査「副業先への転職、20代は6~7割」
フリーランスコンサルタント向けエージェントとは?ポイントやおすすめを紹介

ビジネスSNSを利用する

TwitterやFacebook、InstagramといったSNSで企業が正社員を募集している場合があります。SNSを通じて求人に応募するのも1つの手です。

フリーランスとして自身の実績を宣伝・アピールする姿勢は欠かせません。SNSの開設は基本的に無料なため、自身のビジネス用アカウントを作っておきましょう。

人柄や実績がわかる発信を心がけておけば、SNSの求人に応募する際もスムーズです。プロフィールやポートフォリオを見やすい形に工夫して掲載しておきましょう。

▼関連記事▼
著書?SNS?ブログ?フリーランスコンサルタントで独立前にしておくべき個人アピール策

フリーランスから正社員になるときに必要な書類・手続き 

フリータンスから正社員に転職・再就職した場合には、さまざまな手続きが必要です。フリーランスは個人事業主です。正社員に転職すると自身の事業を廃止して事業収入を得ない形になるため、税務署などの所得に関わっていた期間にその旨を申告する必要があります。

正社員として採用になったときのために、必要な書類や手続きを確認しておきましょう。

個人事業の開業届出・廃業届出等手続を提出する 

個人事業の廃業を税務署に届け出るため、「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」を提出しましょう。税務署に直接提出する他、郵送やe-TAXでの届出も可能です。

手続の届出は廃業の事実があった日から一カ月が期限です。一カ月後が土・日や祝日にあたる場合はその翌日が期限日になります。

▼関連記事▼
フリーランスと個人事業主の違いは?それぞれのメリットデメリットを解説

所得税の青色申告の取りやめ届出書を提出する

個人事業主として届出をして青色申告をしていた場合、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を税務署に提出する必要があります。

期限は青色申告をやめようとする年度の3月15日までです。新年度に向けて転職や再就職活動を行っている場合は採用の時期と重なるため、届出の締め切りに注意しましょう。

▼関連記事▼
フリーランスで確定申告が必要なのはいくらから?申告方法や注意点を解説
フリーランスの確定申告はどうすればいい?手順や注意点について詳しく解説!

事業廃止届出書を提出する

事業廃止届出書を提出します。それまで課税対象だった事業を廃止する意味での届出です。届出をし、事業を廃止するまでの期間における消費税は納税の義務があります。事業廃止日までの期間に得た収入を、確定申告して納税しましょう。

給与支払い事務所等の開設・移転廃止の届出書を提出する 

給与支払いを行っている事務所を廃止する意味での届出書です。税務署に廃止日から一カ月以内に提出します。

提出は直接税務署に持参するか、郵送をしましょう。手数料はかかりません。

フリーランスから正社員になった後での確定申告が必要なことも 

フリーランスから正社員に転職・再就職した後に、確定申告が必要となるケースがあります。次の2点に当てはまる場合は確定申告をし、所得税を納めましょう。

  • 転職前のフリーランスの所得が年20万円以上
  • 転職前の収入に関して所得税の清算が済んでいない

正社員になると給与所得者になります。一方、フリーランスの収入は事業所得です。

所得の区分が異なるため、フリーランスの所得税は会社で清算できません。フリーランスの収入が20万円を超えている場合は納税義務がありますので、忘れずに確定申告をしましょう。

▼関連記事▼
フリーランスでも年末調整は必要?確定申告との違いを解説
フリーランスが扶養内で働ける条件や確定申告の注意点を解説!

まとめ

フリーランスにはフリーランスのよさがありますが、正社員にも給与や雇用の安定といったメリットがあります。自身の働き方や希望する給与体系に合わせて、どちらの働き方がよいか検討しましょう。

フリーランスは、プロフェッショナルとして仕事を受注し、成果を出してきた実績があります。その実績やスキルを十分に発揮できるよう、選考で会社にアピールすることが大切です。会社にしっかり貢献できれば、お互い気持ちよく働けるでしょう。

正社員に採用された場合に必要な手続きも知識として知っておくと安心です。今回ご紹介した手続き方法を、転職・再就職する際の参考にしてください。

働き方が多様化しており、働く期間も長くなってきている昨今、柔軟に働き方を選べるとよいですね。

▼関連記事▼
フリーランスが知っておくべき保険の基礎知識やポイントを解説!
フリーランスと雇用保険|開業前に知っておきたいお役立ち情報