昨今、フリーランス案件を獲得して稼いでいる人が増加しています。会社勤めから独立する、或いは一度も就職せずに学校を卒業して直ぐに従事した人など、2020年末時点で約462万人がフリーランスです。これは、就業者全体の約7%に相当します。

しかし、2023年10月から施行されるインボイス制度は、小規模事業者であるフリーランスを、第2法人税的な性質をもつと言われる消費税の納税義務者にするものです。

これには、フリーランスからは猛反対を受けていますが、国会でも議論される中、政府は施行方針を変える様子はありません。

一方、フリーランスを発注者の一方的な契約変更などから守り、取引の適正化につなげる狙いで新法を法制化する動きもあります。

このような環境下でフリーランス案件は中卒プログラマーで年収1,000万円超えの人も存在する一方で「やめとけ」「きつい」という声もあり、迷っている方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、フリーランス案件の働き方、メリット・デメリット、フリーランス案件に合う職種や平均年収などについて解説します。

ご興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

フリーランス案件での働き方とは?

フリーランスとは、特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知

識やスキルを提供して対価を得る働き方をする人です。

ここでは、フリーランスになる前に知っておくべきことが以下のとおり、いくつかありますので、具体的に見ておきましょう。

・自分で仕事を探す会社の雇用契約とは違う
・経理会計や確定申告は自分で行う
・労働基準法の適用外になるのが殆ど

自分で仕事を探す

会社では、専門性が高いか低いかに関わらず、分業化されているため会社が獲得してきた案件を会社の指示に従い遂行すれば、仕事になります。

しかし、フリーランス案件はクラウドソーシングサイトなどを利用して、自身のスキルに合った案件を獲得しなくてはなりません。これには適正価格の調査や実績、営業的なセンスも求められます。

最初は少しずつ経験と実績を積んでいく必要があるでしょう。

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会社の雇用契約とは違う

会社の雇用契約とフリーランスの業務委託契約には根本的な違いがあります。フリーランスは、原則継続的な契約よりもスポット契約が多く、会社の継続的な雇用契約とは異なるのです。

また、フリーランス案件では自分でクライアントとの契約を締結する必要がありますから、契約書の草案作成など法的な知識も必要になります。

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経理会計や確定申告は自分で行う

会社勤めの場合、専門部署が源泉徴収や年末調整を行ってくれます。また、日常の経費計上や売上の管理も殆ど自分では行う必要はありません。

しかし、フリーランスはこれらすべての事務手続きを自分で行わなければならないのです。当初は、これらの手続きを煩わしく感じる方も多いですが、一度ルーティーン化すれば案外簡単に感じるかもしれません。

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労働基準法の適用外になるのが殆ど

フリーランス案件という働き方では、労働基準法の適用外になるケースが殆どです。労働基準法や労働組合法の労働者に当たる会社員は、最低報酬額や最大労働時間の規定などで守られますが、フリーランスにはこれらの規定は適用されません。

先述したフリーランス新法で新たに法制化されない限り、労働基準法に該当する法律はありません。現状は消費税の支払い拒否の禁止、単価の据え置きの禁止、取引の一方的な打ち切り禁止など、下請法の範囲でしか保護されないことを認識しておきましょう。

フリーランス案件で働くメリット・デメリット

フリーランス案件で働くメリットと肯定される理由は何か、一方デメリットと否定される理由は何かについて、見ていきましょう。

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フリーランス案件のメリットと肯定される理由

フリーランス案件を肯定的にみる代表的な7つのメリットとその理由について解説します。

・収入が増えやすい
・とりあえず副業で始められる
・自分の裁量で仕事ができる
・働く場所と時間が自由
・人間関係の悩みが少ない
・仕事と子育てが両立しやすい
・自身の将来像を自由に描ける

収入が増えやすい

出典:フリーランス白書2020

上の画像のとおり「フリーランス白書2020」によると、フリーランスの人がフルタイムで働いているのは50.3%で年収400万円以上の人が54.6%を占めます。また、年収600万円以上が33.4%800万円以上が21.8%1,000万円以上の人は11.8%です。

詳細なフリーランスの平均年収データはありませんが、厚生労働省2020年家計調査では日本の全世帯平均年収の中央値は437万円ですから、フリーランスの平均年収は会社員よりも高い傾向にあると言えます。

とりあえず副業で始められる

出典:フリーランス白書2020

1か月の平均勤務時間は、一般の会社員と同じ140時間以上が50.3%と過半数を占めますが、100時間未満の人が34%も占めており、副業やパートタイム感覚で取り組んでいる人も少なくありません。

このことからフリーランスは、とりあえず副業ではじめて実績を積み、顧客数が増えた時点で独立することができると言えます。

自分の裁量で仕事ができる

出典:フリーランス白書2020

上の画像は、「フリーランスの働き方を始めた理由」という問いに現役のフリーランスが答えた結果です。一番多かったのが、「自分の裁量で仕事をするため」です。

この回答は、より「自分の能力/資格を生かす」や「挑戦したいこと/やってみたいことがある」にも通じることと言えます。

言い換えれば、会社では指示された範囲の仕事になるのに対し、フリーランスは自分の裁量に見合った仕事ができる、経験したい仕事が選びやすい、スキルのキャリアが積める側面があるとも言えるでしょう。

働く場所と時間が自由

「フリーランスの働き方を始めた理由」で、「働く時間と場所を自由にするため」と答えた人が多いのが分かります。

フリーランスはリモートワークが多いため、満員電車などのストレスもなく通勤時間のロスもないので、時間を上手く使える点が大きなメリットと言えるでしょう。

人間関係の悩みが少ない

2021年12月、「人事のミカタ」が行った「ホンネの退職理由」を問うアンケート調査によると、もっとも多かったのが、「人間関係が悪かった」です。全体の約3割を占めています。

フリーランスでは、クライアントとの関係が中心になることが多いため、同僚や上司との人間関係の悩みは少なく、仕事に集中しやすい環境と言えるでしょう。

仕事と子育てが両立しやすい

「ワークライフバランスを良くする」にも通じますが、「仕事と子育ての両立」は、会社勤めでは現実的な問題として難しいことです。

フリーランスであれば、自身の生活リズムに合わせた仕事のスケジュールが組みやすいため、両立しやすい働き方と言えます。

お子さんと過ごす時間を大切にしたい人には、フリーランスは向いているでしょう。

引用元:人事のミカタ

自身の将来像を自由に描ける

収入が増えやすく、自分の裁量で仕事ができ、通勤に時間を奪われることもなく、人間関係の悩みも少ないため、新たな資格取得や未経験の仕事にチャレンジするなど、スキルアップしやすいのがフリーランス案件です。

会社からの指示の範囲で仕事をこなすよりも、フリーランスはスキルアップし実績を積むことで、自身の将来像が描きやすくなります

フリーランス案件のデメリットと否定される理由

フリーランスには、当然デメリットもあります。以下のデメリットが「やめとけ」「きつい」と言われる所以です。

・スキルの向上や維持が難しい
・収入が安定しない
・営業スキルが必要
・時代の変化に晒される
・景気の影響を受けやすい
・マネジメント経験が欠落する
・社会保険が国民健康保険になり負担増も

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スキルの向上や維持が難しい

フリーランス案件は、経験したい仕事を見つけやすい半面、クライアントから指名されなければ見つけた仕事が獲得できなくなります。仕事を獲得できなければ、意に反した仕事しか取れず、スキルアップやスキルを維持することは愚か、実績にも繋がりません。

この点が「フリーランスはやめとけ」と言われる理由の一つになっています。

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収入が安定しない

フリーランスは仕事を獲得できなければ、当然収入にはなりません。また、時節によっては過剰に仕事が取れたり、全く仕事が取れないことも想定できます。

その結果、「働く時間が自由」というフリーランス案件の利点を活かせないケースもあるのです。この点が、安定した収入が得られる会社から見て、「フリーランスはきつい」と言われる所以でしょう。

数社のみに頼らず複数のクライアントと取引するなど、しっかりと対策する必要があります。

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営業スキルが必要

先述したとおり、フリーランス案件では一定の営業スキルが必要です。例えば、エンジニアとしてのスキルがあっても、営業スキルがないと仕事を獲得するのが難しくなります。

ビジネスにおける文書の書き方やクライアントとの接し方などには注意しましょう。また、請ける仕事の適正価格調査などをしっかり行ったうえで、コンペに参加するようにしてください。

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時代の変化に晒される

出典:https://www.itr.co.jp/report/marketview/M22000400.html

フリーランスエンジニアは主にIT業界で働く人が多い昨今、非エンジニアでもシステム開発が行えるノーコード、ローコード時代に突入しています。ノーコード、ローコードが更に進化し普及すれば、エンジニアの需要が激減するかもしれません。

上の画像とおりITRの調査結果によると、ノーコード、ローコード開発市場は年々増加しており、2025年には2022年の約2倍の規模になると予想されています。このような時代の変化にフリーランスエンジニアは晒されやすいと言えるでしょう。

対策として、常に新しい技術やマーケットと接して、トレンドを掴んだ学習や資格取得などスキルアップが欠かせません。

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景気の影響を受けやすい

フリーランス案件は、会社員と比較して企業の業績悪化や不景気に影響を受けやすくなります。正社員は、労働基準法や労働組合法に守られている側面がありますが、フリーランスは企業にとって契約を打ち切りやすい立場です。

出典:フリーランス白書2020

取引先は1社から3社程度では、このリスクは解消できません。上の画像のとおり、フリーランスで年収が高い人ほど、取引先数は多く10社以上と回答しています。

できれば10社くらいの取引実績を作って、いつでもこちらから取引先に仕事の提案ができるようにするなどの対策が必要です。

マネジメント経験が欠落する

フリーランス案件ではチームで働くことが激減します。通勤しなくても良いという利点がある半面、チームでの仕事の経験が少ないためにマネジメント経験が欠落しやすい働き方です。

例えば、エンジニアなどはチームの一員として働くことが多いものの、あくまで外部パートナーという立ち位置になります。そのため、サーバーにアクセスできない領域が設けられ疎外感を感じることがあるかもしれません。

フリーランスエンジニアがプロジェクトチームの中心的存在になるためには、実績はもちろんですがプロジェクトマネージャーやITストラテジストなどの国家資格を取得する必要があるでしょう。

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社会保険が国民健康保険になり負担増も

会社員は社会保険に加入し、保険料の50%を会社が負担してくれます。しかし、フリーランスは個人のため、社会保険ではなく国民健康保険(国保)への加入が必須です。

国保は、社会保険よりも保険料が1割〜4割近く(年収による)高くなり、その分負担増になります。

また、年金は厚生年金から国民年金に変わり保険料は減額するものの受給額も減額されます。労災保険や雇用保険は民間の保険に加入するなど手続きが必要で、費用的にも負担増になってしまうのです。

引用元:厚労省国民健康保険制度

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フリーランス案件に合う職種と年収

フリーランス案件のメリットとデメリットを見てきましたが、ここではフリーランス案件に合う職種や平均年収を以下の職種別で見てみましょう。

・エンジニア系
・コンサルティング系
・クリエイティブ系
・接客系
・インフルエンサー系
出典:フリーランス白書2020

上の画像は、フリーランスの職種別年収額です。これらのデータをもとに解説します。

エンジニア系

もっとも年収額が高いのが、エンジニア系のフリーランスの人たちです。企業で経験と実績をつけ、独立した人が多い傾向にあります。また、企業に在籍中、国家資格を取得しスキルを証明できるようにしている人が多いのがフリーランスエンジニアの特徴です。

中には年収1,500万円を超える人がいるとも言われています。このようなエンジニアは、プロジェクトリーダーとして参加し、企業と年収ベースで契約する実力者です。

特にエンジニアは、経験と実績が重要な職種ですから、一定の実績を積んだうえで独立すると有利かもしれません。

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コンサルティング系

次に年収額が高いのが、コンサルティング系のフリーランスです。こちらも中小企業診断士やファイナンシャルプランナー、行政書士といった国家資格取得者が多い傾向にあります。

年収額は経営戦略コンサルタントで1,400万円前後、業務系のシステムコンサルタントで1,000万円前後と言われています。

また出身はエンジニアでも、企業のIT戦略の策定からシステムの見直し、新システムの導入提案、システムの最適化や動作検証までを担う、ITコンサルタントもここに含まれます。

企業に在籍中または退職後に、これらの国家資格を取得すると円滑に仕事を獲得するための武器になるでしょう。

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クリエイティブ系

次に年収額が高いのが、クリエイティブ系フリーランスでWeb制作やフォト系もここに含まれます。フリーランスのなかでも、リモートワークで働く人が多いのが特徴です。

年収は400万円から800万円のレンジがもっとも多いですが、400万円未満の人も多いのが実態と言えます。この分野でも、有名なWebデザインを担当した、ヒットしたゲームのキャラクターやアバターを担当したなどの実績は重要です。

色彩などの基礎知識や各種ツールを使いこなすスキル、注目を集めるマーケティングの視点なども必要になります。

ただ、イラストなどのグラフィックデザイナーの場合、未経験からでもフリーランスの自由な時間を活かして、コツコツとスキルアップしやすい職種と言えます。

接客系

インストラクターや美容ファッション、ネットショップ運営の受託、飲食などが接客系に含まれます。

年収はさまざまですが、「フリーランス白書2022」によると400万円未満がもっとも多く、次いで400万円〜800万円未満です。

接客系は、ネット関連以外はリモートワークでないのが特徴で、働く場所を選べないケースが多い職種になります。

インフルエンサー系

インフルエンサー系フリーランスは、これまでYouTube、FacebookやTwitterが主流でした。しかし、昨今はインスタグラムやライブ配信での活動が盛んで、収益化にも成功例が多数見受けられます。

インスタグラムは従来の、企業からPR案件を請ける、アフィリエイトをするというものですが、ライブ配信は視聴者から直接課金してもらうというものです。

また、これまでYouTubeでは動画のはじまりや途中で広告を挟むというもののみでしたが、近年はYoutuberが視聴者から直接課金を募ることができるようになっています。

収入は月間7,000円〜で、ご存知のとおり年収数億円の人もいます。人気を集められるかが勝負になることと、発言が炎上に繋がるリスクがある職種です。

フリーランス案件で働く際の注意点

フリーランス案件で働く際には、いくつかの注意点がありますので、押さえておきましょう。

・自己管理能力が重要
・クレジットカードが作れないケースがある
・記帳や会計処理は日常で行う

自己管理能力が重要

フリーランスは、働く時間や仕事を自由に選びやすい半面、自己管理能力が必要になります。

会社勤めをしているときは、出勤する時間や当日仕事を終えるまでに何をどこまでやらないとならないかなど「To Do」が明確だった筈です。また、人の目がないと作業に集中できないというタイプの方も少なくありません。

そういう方は、スケジュール管理ツールを常に活用しながら、自宅で集中できる環境作りをするか、ネットが繋がりやすいカフェなどを見つけるなどの工夫が必要でしょう。

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クレジットカードが作れないケースがある

フリーランスは先述したとおり収入が不安定になりやすく、クライアントによっては月締めの翌月末払いという取引条件を提示してくるケースも少なくありません。

このようなケースでは、クレジットカードがあると繋ぎ資金の調達ができるため助かります。できれば、限度額が大きな法人カードを持っておきたいところです。

しかし、会社を退職しフリーランスになってからでは、クレジットカードの審査に通らないケースがあります。

もし、既に退職してクレジットカードを持っていないという場合は、大手スーパーや百貨店、ネットショップなどが発行している流通系クレジットカードに申し込んでみましょう。

流通系クレジットカードは、銀行系や信販系よりも審査に通りやすい傾向があります。実際、イオンカードは申込条件で「18歳以上かつ電話連絡が可能な方」とし、学生でも申込可能です。

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記帳や会計処理は日常で行う

「フリーランス白書2022」では、「フリーランスの働き方の課題」というアンケートで、「経理などの庶務・バックオフィス作業が煩雑と回答した人が36.3%を占めました。

これは、記帳や会計処理を貯め込んでしまう人が多いことが原因と考えられます。フリーランスの利点として、仕事に紐づけられる出費は経費として認められる点です。

しかし、記帳や会計処理を貯め込んでしまうと、「領収書がなくなった」「購入した商品の明細書が不明」など、探すという無駄な時間とストレスまで貯め込んでしまいます

経費が認められないことを避け、余計なストレスを貯め込まないためにも、できるだけ記帳や会計処理は日常で行うようにしましょう。

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まとめ

フリーランス案件について、「フリーランス白書2022」を中心に働き方、メリット・デメリット、フリーランス案件に合う職種や平均年収などについて解説しました。

やはり、フリーランスとして働くか否かは、自分を取り巻く環境や将来像に照らしてタイミングを計ることも重要です。

ぜひ、この記事を参考にして検討して頂けましたら幸いです。

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